松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

松下昇『概念集』の一部への感想 5

66 余事記載 http://666999.info/matu/data0/gainen66.php 裁判所に提出した文書の中で、裁判所が考える現実の構成にとって不要である要素は、裁判所にとってどうでもよいできごとであり、審理の対象になることはない。当事者の発言の一部が審理の対象になら…

松下昇『概念集』の一部への感想 4

51 話と生活 666999.info 全共闘期、神戸大学で学生と共闘しつつ独自の闘いを持続しつつあった松下昇に対しては、懲戒免職が進行しつつあった。一方で、責任者である二人の大学評議員からこんな話もあった。 「二人は、神戸大学の同窓会、特に財界グループが…

松下昇『概念集』の一部への感想 3

39 華蓋・花なきバラ http://666999.info/matu/data0/gainen39.php「六月四日の北京・天安門事件の際に、私は偶然に #魯迅 の「花なきバラ」を読んでいた。一九二六年三月十八日、「民国以来最も暗黒の日」にしるされた文章は、沈痛な怒りにみちているが、私…

松下昇『概念集』の一部への感想 2

35 瞬間 http://666999.info/matu/data0/gainen35.php瞬間というのは、ロマン主義に必須である概念だという。歴史や幻想もそうでは、と思うと混乱するが、古典主義が均整と美、理性の勝利であるとすると、その逆を突いて転倒したいという欲望がロマン主義で…

松下昇『概念集』の一部への感想 1

松下昇の後期主要著作『概念集』全14冊、全210項目はすべてPDF化されており、下記から読むことができます。http://666999.info/matu/mokuji.php(畏友、永里氏のサイトに掲載されたもの)その一部は、私がテキスト化しています。その一部について、私が…

「反日」をめぐって

http://kusabi.webcrow.jp/gainen/hozyuu/1.pdf#page=6この紙片に、I.Hというペンネームの未知の方の文章が載っている。「反日」という思想についてである。「僕は彼らの「反日思想」に共感した。中、高生ごろ僕が一人で考えていた「日本人であることの罪…

田あるによって生命育つ

『Doing 思想史』 テツオナジタというのは、変な題だし、余り読まれなかった本(2008年みすずが翻訳刊行)かもしれない気がする。今の私の問題意識に響くものがあって、感銘を受けた。 18-19世紀の日本人の形而上感覚・気一元論が、例えば山中の芽生えのエロ…

首都占領は恋愛のチャンス

廉想渉(ヨムサンソプ)の『驟雨』は面白い小説だ。1950年に書かれたとは思えない、とてもモダンな感じ。白川豊による翻訳が出たのが、2019年、21世紀に書かれたと言われてもだまされてしまうだろう。 「フロントグラスをザーザーと容赦なく叩きつける大粒の…

『新女性を生きよ』朴婉緒を読んで

『新女性を生きよ』朴婉緒の自伝3部作の最初。大ベストセラーになった。やっと読み始めたが、とてもおもしろい。*1 彼女は1931年生まれ、開城(松都)近くの片田舎の両班の家に生まれる。その田舎の小村は両班が2軒、非両班が16軒ほどで、農地は村人が所有…

和解のためのパラヴァー(徹底的話し合い)

謝罪は難しい。自分が正しいと思ってやったことを咎められた場合、相手が自分の正しさを主張すればこちらもこちらの正しさを主張し返すことになり、きりがない。だからそういうことは止めよう、と考える。しかしそれでは不正は放置されたままになり、社会は…

差別を禁止しても・・・

https://www.youtube.com/watch?v=rc6qdM4Cv7Y「ミンデル『紛争の心理学』の「反差別主義」を入り口に熱く語る」という、三鷹ダイバーシティセンターの4人による討論がある。ミンデルの本のなかで、「差別をなくすべきとする考え方、は偏見はなくならない と…

テロリストに非暴力を求めるな!

アーノルド・ミンデルの『紛争の心理学』講談社現代新書、はとても興味深い本だった。ちょっと引用、紹介したい。「テロリズムの特徴は、平等や自由を目的に、権力を持たないグループが主流派に対して攻撃することである。主流派に対する手当たり次第で道理…

金達寿の『玄海灘』を読んで

金達寿の『玄海灘』読んだ。良い小説だと思う。古くさい左翼あるいは民族主義的小説として、軽くあしらえるはずだという偏見があった。確かにこの小説は「古くさい左翼あるいは民族主義的」な志を肯定的に描こうとはしている。しかしそれを古くさいとして乗…

『光州 五月の記憶』尹祥源(ユンサンウォン)評伝について

『光州 五月の記憶』は、1980年の光州事件を、若くしてこの闘いに倒れた尹祥源(ユンサンウォン)の評伝という形で書ききったもの。この大きな事件を近付こうとするとき、比較的理解しやすい一つの方法だと思える。 現在の全羅南道光州広域市光山区に 尹祥源…

〈現状態に対する本源的拒否〉の思想

1 黄晳暎(ファンソギョン)の小説を何冊か読んでかなり好きになったので、黄晳暎論でも読もうかと思って図書館を探すと、金明仁(キムミョンイン)という人の『闘争の詩学』副題が「民主化闘争の中の韓国文学」という本があったので借りて見た。第7章が黄…

雑誌文藝 特集 韓国・フェミニズム・日本

去年の秋に出た、雑誌文藝の特集「韓国・フェミニズム・日本」短編を少しだけ読んでみた。 韓国人作家の紹介だけでなく日本人作家と半々になっている。日本人作家には、日本人の韓国認識の歪み、不思議さの底部を問おうとする作品が多い。さすが文学者。 2…

コロナに乗じて不当な利益を得ようとする奴ら

コロナ騒動を、co2削減という面から見ると、グレタさんとかが必死で叫んだけれども、絶対に到達できなかった削減目標があっさり達成されていると言える。(安冨歩さんが彼の動画でおっしゃっていたことなのだが) つまり現在の形での文明のスタイルが、資本…

慰安婦像のどこがいけないのか?

小熊氏への回答1,「なぜ大使館の安寧が、慰安婦像で乱されるの?」乱されていない。乱されているのはあなたの頭の中だ。2,「慰安婦像そのものが問題なんだ」はい。その問題とは何かな?「大使館前以外なら問題ないという理屈」はどこにあるのかな?安寧…

三一独立宣言書

我等ハ玆ニ我朝鮮ノ獨立國タルコト及朝鮮人ノ自由民タルコトヲ宣言ス此レヲ以テ世界萬邦ニ告ケ人類平等ノ大義ヲ克明シ此レヲ以テ子孫萬代ニ誥ヘ民族自存ノ正權ヲ永有セシム半萬年歷史ノ權威ニ仗リテ此ヲ宣言シ二千萬民衆ノ忠誠ヲ合シテ此ヲ佈明シ民族ノ恒久…

金時鐘「化身」について

金時鐘『化石の夏』のなかの一篇「化身」 かりに蛹から抜けきれなかった蝶がいたとして小枝でそのまま乾いているとしても翅はしだいに半身のまま風となれあっていきあたりに飛翔を花粉のように弾き散らしながら羽裏のあわいでさらされているだろう だから蝶…

釜ヶ崎・開放・センターのシャッター閉鎖!?

釜ヶ崎・開放・センターのシャッターを国(労働局)・大阪府・大阪府警第一機動隊などが閉めにきました。人(居住者+支援者)が少なくなった12時25分ごろ。以下、数人の方のtwitterをまとめます。無断引用失礼します。時間に注意して読んで下さい。リン…

平成と令和の間に開いた想定外の〈解放空間〉

釜ヶ崎のあいりん労働福祉センターが3月31日で閉鎖されることになっており、午後6時ごろシャッターを閉め始めましたが、多くの人が集まって抗議したため、閉められませんでした。(JR新今宮すぐ南) 私は野次馬として31日午後4時から11時頃までセ…

梅原猛についての走り書き

『ユリイカ 梅原猛』というのを買った。最近日本古代を(簡単に)理解したいと思っているので。梅原猛(うめはらたけし、1925年-2019年1月12日))(吉本の1年下) **出雲について出雲は戦後長い間、古代の実在的勢力としては重視されていなかった。「大和…

普通・無知であること

ところで私はずっと、twitterなどで、ネトウヨ(ネット右翼)という人々と「論争」しています。彼らはおかしなことに必ず、「右でも左でもない」「ふつう」と名乗りたがるのです。 このことについて、次のようにツイートしてみました。 日本人は「普通・無知…

戦後神道界と沖縄─昭和30年代沖縄「島ぐるみ闘争」に呼応した葦津珍彦と青年神道家たち

花瑛塾(かえいじゅく)のブログに、昭和31年[1956]6月30日付「神社新報」葦津珍彦の文章が紹介されているので、ここで引用したい。 http://kaeizyuku.com/2018/12/16/19560630/ 葦津は、沖縄では既に4万エーカーの土地が米軍基地として接収され、5万戸25…

沖縄米軍基地拡大反対

沖縄米軍基地拡大反対

『中論』最後の部分メモ

『中論』(ちゅうろん)、正式名称『根本中頌』(こんぽんちゅうじゅ、梵: Mūlamadhyamaka-kārikā, ムーラマディヤマカ・カーリカー)は、1800年ほど前、龍樹によって書かれた。 ウィキペディアに目次がある。中村元氏によるサンスクリットからの翻訳が、講…

馬場信浩氏発言

をメモしておく。 ‏「負けばかりが言われるけれど勝った例もある」そうだ。 勝てる論理が一切ない、が私の主張。あとでよく検討しよう。https://twitter.com/schoolwars1/status/1073540724371554305 以下 馬場信浩 @schoolwars1 もうすぐ慰安婦合意なって三…

脱北者らが北朝鮮政府を提訴

脱北者らが初めて、日本の裁判所に北朝鮮政府を提訴 〜北朝鮮帰還事業は、国家による誘拐行為〜 ■提訴日時:2018年8月20日(月) 午後2時 場所:東京地裁正門前原告2〜4名・弁護団らが訴状を提出のため、地裁正門から集団で建物に入ります。 撮影等はこの…

南北、米朝首脳会談

というものはあくまで国家と国家の間の、ある意味でそういう言葉を使うとすれば「談合」に過ぎません。 一方、革命とか国家の崩壊というものは、誰も予想しない時に起こる可能性があるのです。 id:bogus-simotukare へ。(8/17)