松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

権利とは詐欺であるだってさ。バカちゃうか。

 言うまでもなく、「労働力販売事業」の目的とは自身の生活の福祉の向上であり、顧客とは経営者であり、成果とは賃上げと労働環境の改善その他諸々であり、……といった具合に、労働組合活動もまた「経営」ということになる。まぁ、それでいいと思うけど。もちろん、ふろむだ氏はそんな風には思ってないんだろうけど、知ったことではない。
http://d.hatena.ne.jp/mojimoji/20080806/p1

 mojimojiさんのこの文章に賛成します。mojimojiさんの文章からは、ずれますが。
 労働組合運動というものが労働者の福祉を守ろうと運動するがゆえにフーコー的意味での管理社会、自己のノーマル(ノルム)化*1を招き寄せてしまうということは、わたしの狭い見聞の範囲でもあることのように思います。*2労働組合運動ではないが嫌煙権運動なんかは典型的。

であるとしても、

正しい経営とか正当な対価とか、あれか、君らの頭の中では何か知らんが<良いもの>としての――つまり可能性としての、規範としての、絶対的な価値としての、人間的な市場経済とか公正な労使関係とか現実的で妥当なモデルが存在してるのか。すごいな。
http://d.hatena.ne.jp/madashan/20080807/1218125829

こういうものの言い方は気に入らない。
労働に対しては正当な対価を要求しうるというブルジョア的建前が存在する。マルクスなんかはそれを一つの公理にすえて革命の必然性を証明した。
建前であれ公理であれ「労働に対しては正当な対価を要求しうる」という常識を肯定する立場で搾取されたいくばくかの金銭を勝ち取りたいと思い交渉しようとする人に対して、頭ごなしに揶揄的態度を取るのはいかがなものか。
搾取されたいくばくかの金銭を勝ち取りたいと思い交渉しようとすることに、「絶対的な価値としての、人間的な市場経済とか公正な労使関係とか現実的で妥当なモデルが存在」しなければならないししているという思想は必要ない。「労働に対しては正当な対価を要求しうる」というブルジョア的建前が法的に存在しているという事実だけで充分である。

えーと、
http://d.hatena.ne.jp/madashan/20080807/1218125829 の記事に対して

# 2008年08月08日 noharra noharra 権利とは詐欺であるだってさ。バカちゃうか。バカなのは権利はなく「権利とはありがたがるものである」という雰囲気を助長しているお前を含むインテリだろ
http://b.hatena.ne.jp/noharra/20080808#bookmark-9578777

という乱暴なコメントを付けたところ求釈明がきたので、補充しておきます。

# あー、うーん??id:noharraさん、恐らく当該記事へのコメントだと思うのですが、何を仰りたいのかよく分からないので宜しければ詳細を御説明いただけませんでしょうか。CommentsAdd StarCrowClawhituzinosanpo


「まあ、皆ほんとに労働好きだよね。」そう言いたい気持ちも分かるが、私は労働好きではない。
皆初めは労働好きではなかったのにいつのまにか、労働なしではいられなくなる。この不思議な機構にmadashanさんの(一枚底の)思想が勝てるとは思えない。がんばっていただきたいけど。

*1:normってフランス語じゃないんだなはじめて知った、どうも知ったかぶりにも困ったものだ

*2:この今回の記事では、労働組合運動に可能性があるのかないのかという議論は行いません。