松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

高くて高い頑丈な壁(その2)


月だけが壁を越えゆく地にありて闇にも届けよ春の樹のこえ


http://d.hatena.ne.jp/usaurara/20090220/1235141488

 詩人の想像力においてここでは卵は月に(おなじ円形で白いものだから)姿を変える。鳥だけが越えられる、月だけが越えられるといった比喩は洋の東西を問わずかってはとてもポピュラーな比喩だった。越えられない格差が世界の至るところにあったからだろう。いまではわざわざ詩人のために高くて高い頑丈な壁を建ててくれるような酔狂な国家、でしかそうした比喩は使えない。