松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

浦志強氏らの釈放を求める

中国において、人権擁護の弁護士活動などを行ってきた浦志強氏ら5人の知識人が、拘留され続けています。
このことについて、鈴木賢教授らが、彼らの解放を願う声明を出しておられます。
私もこの声明に賛同します。 そのためにここに声明を転載するものです。

良識ある中国の皆様へ

 今般、我々の良き友人である徐友漁(Xu Youyu)氏をはじめ、浦志強、郝建、胡石根、劉荻,姚文田といった中国の良識ある方々との連絡がつかなくなっていることにつき、我々は事態を注視するとともに、深く憂慮している。

 徐友漁氏らは、1989年の不幸な事件によって中国社会が負った深い心的外傷を癒し、中国人が再び団結して自らの国家と社会に誇りを持てるようにするため、理性的かつ平和的な知的営みを続けていたのであり、このような良心と愛国心に基づく善良な試みによって彼らの身体や生命が危険に曝されるようなことのないよう、隣人として、友人として、心から祈念している。

 我々は、東アジア諸国に暮らす人々が、国家の政治体制やイデオロギーの違いを超えて、物質的豊かさだけでなく精神的な自由、尊厳、法の下の平等を享受する権利をすべからく有しているものと確信している。この点、中国と隣国の人々のあいだに本質的な違いはなく、また、我々には特定の国家や地域の混乱を助長する意図は全くない。我々はただ、価値観を共有する友人として、徐友漁氏ら中国の良識ある人々が中国社会のさらなる発展と東アジア地域の平和・共存のため、引き続き大いなる貢献を行いうることを希求するのみであり、この真摯な願いと祈りが、中国における関係者の方々に届くよう、切に望む。

2014年5月

(共同呼びかけ人)
鈴木賢 北海道大学法学研究科教授
遠藤乾 北海道大学公共政策大学院教授
阿古智子 東京大学綜合文化研究科准教授
(窓口)
柿澤未知 北海道大学公共政策大学院准教授


http://endoken.blog.fc2.com/blog-entry-76.html
5/12朝、遠藤氏のブログで、上記のとおり確認した。
私がメール転送を受けたものより、文章が短くすっきりまとまっている。共同意志表示の文面は上記なので、訂正した。

*趣旨に御賛同いただける方は、5月12日(月)正午12時迄にメールで御返事いただけますよう何卒宜しくお願い致します*

(御賛同いただけました方々につきましては、氏名・肩書きを本文末尾に記させていただきます)。

なにとぞ御支援・御賛同賜りますよう重ねてお願い申し上げます。


※御支持・御賛同いただけそうなお知り合い・御友人などにも積極的に転送いただけますと幸甚です。

浦志強さんについては、「「言論の自由」のために闘う中国の弁護士・浦志強」という阿古智子さんの記事を読むと、彼のひととなりがよく分かります。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2087


徐友漁氏は、今回の呼びかけ人の方たちと下記の本を共著しているようだ。
「文化大革命の遺制と闘う 徐友漁と中国のリベラリズム」



徐友漁氏の論説の翻訳「転換期中国における社会思想の分化と発展」
http://blog.goo.ne.jp/sinpenzakki/e/abb90ce124c8396d6c87d4f12334281f


なお、同様の趣旨だが、事実関係の詳細もあるので、ヒューマンライツ・ナウの声明も転載しておきます。

20140508発表 浦志強弁護士 声明 


1. 中国の著名な人権派弁護士である浦志強氏が騒動挑発罪の容疑で北京市公安局に拘束されたことが5月6日までに判明した。浦志強弁護士ら十数名の学者、弁護士、作家らは、1989年6月4日の天安門事件から25年となる6月4日を前に、北京市内で勉強会を開催、事件の真相究明を要求していた。
 浦志強氏はその翌日の4日夜、自宅から北京市公安局に連行され、6日には刑事拘禁処分とされ、北京市第一看守所に拘束されている。
研究会参加者の改革派知識人のうち、多くが当局の事情聴取を受け、少なくとも徐友漁氏、郝建氏、胡石根氏、劉荻氏も同じ容疑で拘禁されていると伝えられている。


2.浦志強氏は、中国で最も影響力を持つ人権派弁護士の一人であり、多くの人権問題に関わる訴訟を担当し、法の支配と言論の自由を一貫して唱えてきた。労働教養制度の違法性を訴え続け、昨年末には中国指導部も同制度を廃止した。ヒューマンライツ・ナウ(HRN)は今年2月、東京に浦志強氏を招き、氏の講演会を開催したが、大雪という悪天候にも関わらず、多くの聴衆が集まり、そのたゆまぬ信念と行動力に大きな共感が広がった。浦志強氏は、法に基づく国家と社会をつくるために、多大な努力を続けてきた。
 浦氏らに対する今回の拘束は、集会・言論の自由の保障など、国際的に確立された人権基準から到底容認できない。中国憲法の第二章35条にも「中国の公民は言論、出版、集会、結社、デモ行進、抗議の自由を有する」との規定が置かれている。また、今回のように過去の人権侵害行為に関する歴史的検証を提起した知識人を拘束する行為は、事件の検証そのものを政府が行わないどころか、市民の間での議論する封殺する動きであり、極めて遺憾である。


3.HRNは、中国政府に対し、国際的な人権基準に基づき、浦志強氏ら、5月3日の集会参加者を早期に釈放することを求める。また、糖尿病の持病を抱える浦志強氏の健康の保障を含め、今回拘束された全員に対する人道的取扱い、弁護士による接見など、国際人権法上確立された権利を保障することを求める。
http://hrn.or.jp/activity/area/cat198/post-271/

安田浩一氏も

中国の改革派弁護士である浦志強氏、元社会科学院研究員の除友漁氏ら5人が当局によって拘留され、連絡が取れない状況となっている。除氏はついこの間、札幌でお会いしたばかり。心配だ。5人は89年の天安門事件について考える集会を開いただけだ。中国政府に断固抗議したい。
https://twitter.com/yasudakoichi/status/464766768007753728

今まで中国の人権問題は、中国に関心を持つ人の一部以外になかなか発言者が広がらなかった。中国との関わりがこれほど大きくなった現在、素直な形での民衆連帯が広がる一歩となってほしい。

中国の良心・人権派弁護士の浦志強氏らが拘束された。天安門事件の真相究明を求めて。

伊藤 和子 | 弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長
http://bylines.news.yahoo.co.jp/itokazuko/20140509-00035144/

4月11日には、やはり著名な人権弁護士・許志永氏に対する懲役4年の判決が確定した。

同弁護士も法の支配を求めて活動してきたが、官僚の資産公開や子どもの教育を受ける権利の保障など、極めてあたりまえの穏当な要求であり、インターネットの活用で市民の広い支持を得る活動をしていた。(略)


浦氏や許氏を中心に、最近の中国の人権活動家は、中国政府が嫌う、いわば欧米の人権運動のコピーのようなやり方ではなく、草の根で人々の気持ちをよく汲み取った要求を掲げ、広い市民の支持を受ける、粘り強い建設的な活動を展開し、なかなか当局も弾圧できないような影響力をつけてきた。

こういった人たちまでもが弾圧の対象となる、というのでは、中国社会はいよいよと息苦しいものになりかねない。

一部だけ、引用する。理念先行的でない草の根的運動であっても、弾圧されてしまうのか。

アムネスティから、アクションの呼びかけ。

浦志強、郝建、徐友漁、胡石根(以上男性)、劉荻(女性)
当局に5人を即時、無条件で釈放するように要求する。
犠牲者を追悼する人びとへの嫌がらせ、脅迫、拘束を止めるように要求する。
http://www.amnesty.or.jp/get-involved/ua/ua/2014ua111.html?fb_action_ids=10201242501699126&fb_action_types=og.likes