金正日体制を転換させる主体形成を抑圧しているのは
誰なのか?
ただ同時に、この国が現在の体制においてあり続けることを、自分が生きていくうえで必要不可欠だと考えている人たちがこの国にどのぐらい居るのか、われわれには今のところ知りようがない。
この国の体制に外から圧力を加えていった場合に、この人たちの生にどれだけの影響があるのか、そしてそれに代わるものをわれわれは本当に提供できるのかということを考えることは、是非とも必要なことである。
http://d.hatena.ne.jp/Arisan/20090514/p2
それでは、お前は収容所の何百万や、飢餓や貧困に苦しむ人たちを見捨てるのかと言われれば、今のところ、うなづくしかない。(同上)
Arisanさんの論理展開はおかしい。
北朝鮮国家を批判することを北朝鮮国家を破壊することにまで拡大して、遠慮せざるをえないとしている。
ガザ数百万人民の暮らしは、イスラエルの経済活動なしにはなりたたない。だからといってわたしたちはイスラエル国家批判をためらったりしない。北朝鮮人民と北朝鮮国家の関係もそれと同じである。
B われわれが、朝鮮の人々の多くが精神的に依拠しているであろう(これも、どの程度かは仮定だ)体制と国家のあり方を否定し、それを奪うという暴力。
http://d.hatena.ne.jp/Arisan/20090515/p1
すなわち1945年の日本帝国本国人の「精神的依拠」と同程度である、と判断できる。それを奪うという暴力はなされてはならなかったというなら、狭い意味の国体護持にもっとこだわるべきだったとの結論になる。
ぼくには、この力学のなかで体制が打倒された後に生じる、あの国の現実が、多くの民衆にとって、現在よりもマシなものであるとは、ほとんど考えられないのだ。
北朝鮮の現体制の維持を望んでいるのはわずか4.7パーセントで、93.7パーセントは韓国との統一を望んでいる。*1
http://www.asiavoice.net/nkorea/2009/05/post_290.html
もちろん日本や韓国社会にも大きな大きすぎる矛盾は多くある。それでも上記の数字はやはり圧倒的説得力を持っているのではないだろうか。
パレスチナ問題と違って、北朝鮮国家が消滅してもそのまま韓国に併合されればよいので大きな国際混乱は起こらない。*2 *3ただ中国とロシアが、韓国と国境を接することを是が非でも阻止したいと考えているだけだ。Arisanさんは志に反し大国の利害を擁護しているだけである。
「日々、暮らしている民衆」ではなく
しかし、Bの暴力の問題という風に問題を立てるという道筋がどうしても想像できない。どうしてそこで問題にされるのが、「日々、暮らしている民衆」ではなく、「この体制に精神的に依拠している多くの人びと」でなければならないのか。そのあたりがどうもぼくの琴線に触れたのだ。
http://tu-ta.at.webry.info/200905/article_13.html
(おとなり日記 として)わたしの乱暴な文章と違い丁寧に書いておられるが共通点もある。(5/17追記)