松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

誰が被害者なのか?

ふつうの北朝鮮人民そのものだ。*1それは正しい答えだが、イメージがわきにくい。
在日朝鮮人の親族たちだ、と考える方がリアリティがある。

北朝鮮体制派組織は、北朝鮮は地上の楽園と宣伝して北朝鮮への移住運動を推進。その結果、1959年から1984年にかけて9万3千人を超える人々が日本から北朝鮮に移住した。移住した人びとには日本人・元日本人・元日本居住者・その配偶者や子どもたちなどがいた。脱北者たちによると、日本から北朝鮮に移住した人びとのうち、少なくない人々が北朝鮮政府によって最終的に強制労働収容所送りにされ、そこで、餓えや、医療を受けられないことや、虐待により命を落としていったとのことである。元日本居住者の脱北者(数は少ない)の日本への再定住を受け入れているものの、こうした再定住政策も明確に打ち出されたものではない。
http://www.hrw.org/ja/news/2009/11/16-1

彼らは北朝鮮では、ジェポ、キィポ、ジェッキィなどと呼ばれるが、いづれも差別的ニュアンスがあるらしい。p220*2


つまり在日朝鮮人(総連系の)が金正日の悪口を言わないのは、虐待され続けた子供がそれでも親をかばう発言をするのに似ている。親の悪口を言えばさらに虐待されるという理由もある。しかしより大きいのは加害を受け入れるしかないという諦め、マゾヒズムの回路に入り込んで抜け出せないというところにあるであろう。いずれにしても、その心理はいたいたしく、第三者が土足で踏む込むべきでないと感じられる。しかし何度も言うが、もう50年経ったのだ、遠慮しているうちに50年間状況は改善されなかった。
わたしたちはかっての朝鮮半島に対する加害の歴史に向き合っていく必要がある。それと同時に現在金正日が自国民に対して行っている人権侵害に対して声を上げていく必要がある。

*1:金正日周辺など一部の特権階級以外の全国民

*2:リムジンガン4号

朝鮮学校無償化除外反対(反北朝鮮の立場から)

 というメールをいま、鳩山首相あて送った。

鳩山首相
私たちは朝鮮学校を「高校無償化」制度の対象とすることを求めます

私は朝鮮民主主義人民共和国の早期崩壊を願う立場です。相手国家の存続を前提とした上でしか外交は成立しえないので、首相ご自身がわたしと同じ立場に立つことができる可能性はないものとその点ではあきらめております。
さて、朝鮮学校を「高校無償化」制度から除外するとはいったいどういう政策なのでしょうか。国民のうちに排外主義をもり立てるというアクションがなんらかの効果をもたらすことで政権の支持率が上がるとでも考えておられるのでしょうか。
聞くところによると「中井拉致問題担当相が、4月から実施予定の高校無償化に関し、在日朝鮮人の子女が学ぶ朝鮮学校を対象から外すよう川端達夫文部科学相に要請」したことに始まるようです。中井拉致問題担当相とはいったいどうした存在なのでしょうか。
朝鮮民主主義人民共和国の崩壊なしに拉致問題の解決はありえないと私は思います。しかし仮に国家がそう広言することはほとんど戦争を意味し、すぐに勝てないとすれば賢いやり方ではありません。
朝鮮民主主義人民共和国はなぜ崩壊するべきなのでしょうか?それは国家としての第一の機能、国民の福祉をまったくないがしろにした国家であるからにほかなりません。わたくしのこの判断の可否はしばらく置くとして、わたしたちは歴史から学ぶことを知らなければいけません。近い過去にベルリンの壁の崩壊という大事件がありました。物事を考える基準を、国家から生身の人間つまり市民に変えることができれば、いかに堅固に見えたベルリンの壁もあまりにもあっけなく崩壊したのです。
東アジアでだけなぜ、「ベルリンの壁」は崩壊しないのか?それは時代遅れの冷戦構造をどんな手段を用いても維持しつづけたいと考える勢力が日米双方に強力に存在するからです。北朝鮮という破綻国家が現在まで存続し続けてきたのは、こうした勢力にとって北朝鮮という国家の存続が有利だったからにほかなりません。
鳩山首相は「自分の自由と自分の人格の尊厳を尊重すると同時に、他人の自由と他人の人格の尊厳をも尊重する考え方」すなわち「友愛」を思想の根拠とされているとお聞きしています。国家と国家の間のパワーバランスから世界を考えるのではなく、市民の視点から考えるという哲学であると受け取ることができ、強く賛同したいと考えるものです。
さてここで、朝鮮学校を「高校無償化」制度から除外することは排外主義にしかつながりません。つまらない排外主義をはびこらせることは冷戦構造をむりやりかき立てることによってしか存続できない北朝鮮国家の思うツボでしかないのです。そうではなく、友愛の心でもって、朝鮮学校差別に反対していくこと、それこそが、自国民の福祉をないがしろにする国家は遅かれ早かれ崩壊するという天下の大法を実現していく道なのです。
朝鮮学校を「高校無償化」制度の対象除外としないよう、よろしくお願いします。
住所
氏名

千の星になって

ただいまの☆総数 : 1000 (★6 ☆994)
2010年03月12日 11:24 達成。(2000になるのはあと十年後くらいかな?)
星をくださった方、感謝しております。
 特に下記の論点については、「はてな左翼」界隈では少数派言説といじけておりますので、とりわけうれしかったです。左翼外では圧倒的多数だろうと言い返したいと思われる方もいてはるでしょうが、それは反金正日という一点で共通するだけです。「国家というものが常に国家というゲームだけをしているのに、国民はそれに気づかないことになっているものだ」という構造にそこそろ目覚めるべきなのです。

■ 物事を「中井や橋下の敷く土俵に乗ることを意味」するかどうかで判断するのは、スターリニストの思考法。収容所で撲殺された北朝鮮人民の視点から考えるべき。
http://b.hatena.ne.jp/noharra/20100311#bookmark-19887943
morimori_68 ☆ "北朝鮮人民の視点"

「千の星になって」とはわたしにとってただの駄洒落にすぎない。しかし実際に死んでしまった人たちにとってはどうなんだろう。(死んでしまっているから分からないか。)

「……祖国と民族に背いた李春園を死刑に処する」
すぐさま銃を持った三名の射撃手が一列に並んだ。(略)
保衛員たちは古い麻袋に死体を押し込み、死んだ犬を乗せるかのようにトラックに放りあげ、どこかに行ってしまった。
p199「北朝鮮脱出」

甑山(ジュンサン)教化所での飢餓と死

甑山(ジュンサン)教化所*1というのは刑務所に当たる施設で、中国で逮捕送還された奪北者なども入っています。「教化所の中では、十分な食料が与えられないまま強度の高い労働が強いられ、収容者の多くが栄養失調状態だという。p106*2

初めは、人が死ぬのを見ると恐ろしかったんですよ。ところがあまりにもたくさん見るようになって、日に二、三名が死んでいくのを見ることもあって、それが普通になっていきました。p109同書

問 撃ち殺すのを見たことはありますか。
答 はい、あります。私が入った次の日かな。18歳ぐらいの若い女の子が逃げようとして撃ち殺されました。教化生でしたが、なんと死体を吊るしておくんですよ! そして(収監者を)一列に並ばせて、その前を通過させるんです。p100同書

飢餓のためカエルを食べる話。

畑仕事をしながら、警備の目を盗んで、その場で捕まえて生で食べます。
見つかったら殴られたり罰を受けます。カエルは秋のには毒があるから、皮のあるままでは食べられません。春のカエルは地下から出てきたばかりなので、寄生虫もおらず皮のまま生で食べられます。秋のカエルは、私も食べてみたけれど皮がとても苦いんです。皮を剥ぐには力が必要で手では剥げないので、歯で噛んで一気にペロリと剥ぎます。苦いのは毒があるからだそうです。女たちも食べますよ。皆よく食べていました。p108同書


教化所は日本の刑務所のように閉じ込めておくのが目的ではない。収容者に強制労働をさせることによって農業生産などさまざまな収益を上げることを目的とする産業施設とむしろ考えるべきとのことだ。土木や建設工事現場に日常的に拘留者を派遣しており、人夫の派遣料をとることもある。*3

*1:甑山は平壌の真西、黄海に面した町

*2:リムジンガン4号

*3:cfp110,111同書

祝 リムジンガン第4号発行

石丸次郎さんのリムジンガン第4号の郵送がきた。季刊誌年4回刊行をめざしてきたが、実際は4号までに2年かかった。さらなる継続には大きな困難があるようだ。北朝鮮の状況はますます不確定性を増している、その分この雑誌の客観的価値も上がっているはずだ!どうかみなさん支援してあげてください。

# http://bit.ly/cpFjFt リムジンガンのサイト 4号の特集の第3は、吹き荒れる風紀取締まり旋風だ。女はスカートをはけ という記事では、海州市で、糾察隊に注意された女性が、なぜ私だけ捕まえるのかと猛烈に抗議するという日常の一コマが報じられていて面白い。たくましい庶民