松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

2000年3月26日チェチェンの小さな村でエリザはレイプ殺害された

第二次チェチェン戦争が激戦だった2000年3月26日、チェチェンの小さな村、タンギ・チュから始まりました。この近くに駐留していたロシア陸軍の第160戦車部隊のブダーノフ連隊長(大佐)が、飲酒の上、夜遅く部下とともに装甲車で村に入り、以前から目をつけていたエリザ・クンガーエワさんという18歳の女性を誘拐し、自分の宿舎で強姦、絞殺しました。

 この事件により、ブダーノフは2001年に逮捕され、紆余曲折のすえ、ようやく2003年に10年の刑を宣告されました。しかし、刑には逮捕から判決までの拘置期間も含められたので、刑期は2011年までとなりました。

 同様の人権侵害を繰り返してきたロシア軍は、ブダーノフを徹底的にかばいましたが、それに対してエリザさんの遺族が粘り強く法廷闘争を続けたために有罪判決が下り、同様の人権侵害が裁かれる可能性が切り開かれました。そしてこの法廷で、遺族の代理人を務めていたのが、マルケーロフ弁護士だったのです。(同氏は、2006年に暗殺されたジャーナリストのアンナ・ポリトコフスカヤさんの代理人でもありました)
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20090123/1232684738

そして、

 1月19日の午後2時、チェチェン紛争の被害者救済にあたってきたスタニスラフ・マルケロフ弁護士が、モスクワの路上で銃殺された。同行していた若いジャーナリストのアナスタシア・バブローワさんも重傷を負い、翌日、病院で手術中に死んだ。
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20090121/1232497434

 歯に衣を着せずにプーチン政権を批判したジャーナリストのアンナ・ポリトコフスカヤさん、ロシア政府の内部告発を続けた元連邦保安局職員のアレクサンドル・リトビネンコさん、そして今回のマルケーロフ弁護士と、次々に暗殺され、言論を封じられていく人々の共通点は、みなチェチェン問題に関わり、プーチン・メドベージェフ政権に対して批判的な人であることです。

 そしてこれらの事件は、つねに十分な捜査がされず、うやむやにされたり、あるいはチェチェン人の容疑者が逮捕され、一時的に脚光を浴びては、結局釈放されるといった、不可解な経緯をたどっています。

 今回の事件には、世界の他の地域が抱える多くの問題に通じ、根本的に批判しなければならないものが隠れていると私たちは考えます。それは、国の政策に反対する人々を殺害し、あるいは暴力で威嚇することで、言論の自由を否定し、真実の追求をも諦めさせようとする悪質な意図が存在することです。
http://d.hatena.ne.jp/ootomi 歯に衣を着せずにプーチン政権を批判したジャーナリストのアンナ・ポリトコフスカヤさん、ロシア政府の内部告発を続けた元連邦保安局職員のアレクサンドル・リトビネンコさん、そして今回のマルケーロフ弁護士と、次々に暗殺され、言論を封じられていく人々の共通点は、みなチェチェン問題に関わり、プーチン・メドベージェフ政権に対して批判的な人であることです。

 そしてこれらの事件は、つねに十分な捜査がされず、うやむやにされたり、あるいはチェチェン人の容疑者が逮捕され、一時的に脚光を浴びては、結局釈放されるといった、不可解な経緯をたどっています。

 今回の事件には、世界の他の地域が抱える多くの問題に通じ、根本的に批判しなければならないものが隠れていると私たちは考えます。それは、国の政策に反対する人々を殺害し、あるいは暴力で威嚇することで、言論の自由を否定し、真実の追求をも諦めさせようとする悪質な意図が存在することです。

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