松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

地震で街並みは綺麗になった!

拝啓、井戸敏三兵庫県知事

関東大震災が起きればチャンスになる。」と発言されたことは波紋を巻き起こしています。
確かに地震は悪いことばかりではなかった。地震で街並みが綺麗になったと言える点もあるのは事実です。知事が誇る兵庫県立芸術文化センターを中心にした街区などはかなり広くまで綺麗な街並みがひろがっています。死者は死者をして葬らせよ。街は人が死に世代が交代しても続いていきます。美しい街並みがスラムになるのは容易でもスラム*1を美しい街並みに変えるためには地震のような大きな衝撃が不可欠です。いまある人々の幸不幸も大事だが、常に百年後を見つめて県政を運営していきたい、と知事は考えておられるのでしょう。その志は否定されるべきではありません。
 しかし、実際にはそのような見方には五百万県民のごく一部しか賛成しないでしょう。地震で綺麗になったのは被災地域のごく一部でしかありません。死者のことは考えないとしても、地震で大きなダメージを受けそのダメージから回復できずに今も苦しんでいる膨大な人々。その数は多いにもかかわらず、誰も代弁してはくれずとうとう知事の意識からも全く消え去るに至ってしまいました。代弁力のない今も苦しんでいる被災者たちよりも、美しい街路の方が大事なのでしょうか?
 そういう感受性もある。でもそれでよいのかどうか、どうか考えていただきたいと思います。

参考:http://www.asahi.com/national/update/1112/OSK200811110109.html
http://d.hatena.ne.jp/koua/20081112/1226443052 など

*1:駅前は地価が高いから金持ちの大きな家が並ぶのが当たり前なのに、貧乏人が駅前に棲みたがるからスラムができる!