松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

美知波此道

http://d.hatena.ne.jp/noharra/20080613#p4 で書いたが、にせ万葉がな翻訳機(ジェネレータ)を作ってみた。

α。天能下 青人草乃朝夕邇   御蔭 登余曽留美知波此道(宣長

β。天のした青人くさのあさよひに御かげとよそる道はこの道*1「みちは此道」と訳すべきであろう。しかし太平は下、草、朝夕、蔭についてもαの感じをひらがなに変換している。忠実さという要請よりも、歌は歌として美的にととのえなければならぬという彼の言語感がそうさせたのであろう。

・・・(続く)

訂正:「直毘霊・玉鉾百首」という薄い岩波文庫(昭和18年、6刷)が古本屋で300円だったので買ってあったのでした。
直毘霊と玉鉾百首 以外に「玉鉾百首解」と村岡典嗣による解説がついています。玉鉾百首解は本居太平の著作のようですが、「はしかき」を書いた橘朝臣房雄の著作かと勘違いしていました。

上記岩波文庫はうわづら文庫で読めます。
http://uwazura.up.seesaa.net/image/C4BEC8FBF0CDA1A6B6CCCBC8C9B4BCF3A1A6B4E4C7C8CAB8B8CBA1A6C2BCB2AC.pdf
pdfファイルなので検索もできる。

http://www2u.biglobe.ne.jp/~gln/77/7718/771851.htm
解説付き

天地之極美御照須高光 日大神乃道者許能美知
高御座天津日嗣登日御子之受伝閉座 道者此道*2
天能下青人草乃朝夕邇御蔭登余曽留美知波此道

「道はこの道」はこの百首の2、3、4首目に上のように3つのヴァリエーションででてきます。

*1:「橘房雄」訳と思っていたがちがうようだ。「玉鉾百首解」は本居太平の著作) γ。天乃紫太青人久紗乃愛紗欲比尼御可下斗欲宗留未知破古乃道(野原訳) 天乃之太青人久左乃安左与比仁御加計止与曽留美知波己乃道(ねこいりねこさん訳)   天乃刺多青人苦鎖乃愛鎖夜悲弐御華外斗夜甦流魅痴覇虎乃道(ギークなお姉さん訳) 註:青人草とは万民をいふ。朝よひとは朝も夕もなり。常住不断。御蔭(みかげ)は俗に「おかげ」というに同じ。よそるは、寄る。たのみにしてよりすがる意なり。(本居太平による註より) 橘房雄さんのはしがきは「世の中の万の事、神の御蔭にもれたるはなきを、それが中にも、ことに尊くうれしきは、直日の神の御霊にぞありける。」こんなふうに書き初められる。世の中には矛盾が満ちあふれそれに諸個人がたちむかって右往左往するというのが近代文学的世界観であるがそれとはまったく違った世界観が前提とされていることが分かる。見よ世界はなんと美しいかそれはみな神のお蔭だ!という感じ。 それを宣長は「美知波此道」というテーゼで表現した。しかし忠実な翻訳者であるはずの太平はそれを「道はこの道」と翻訳した。((宣長自身の訳かもしれない

*2:「伝」は旧字「閉」は門構えの中が「下」