松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

kurahitoさんとの対話(2)

年をまたがったので上に上げました。1/2まで

kurahitokurahito 2007/12/22 23:16 >noharraさん、丁寧なお返事ありがとうございました(トニオさん、ちょっと御免なさい)。
>それに対しkurahitoさんがどういう態度を取っているのかが不明確です。
ただ、「敵か味方か」という点は、伏せさせていただきたいです(そもそもプライバシー侵害を容認するとは書いていません。にもかかわらずterracaoさんが表現形式(スタイル)はどうでもいいという論点を打出してきたので、それには応えておきました)。まず、態度の保留についてですが、発話の正当性を担保するために、発話行為の主体である「私」がどのような考えを抱いているかを示さないことは、プライバシーの権利でもあり、良心の自由と発話行為の主体である「私」の匿名性を確保し、自由な討論を確保するために欠かせないものだと考えます。それを侵すことは(端的にdemianさんが行っていますが)、プライバシー/匿名性の侵害だと考えます。「思想の匿名性」ですね。


>チキさんが今回の問題をどうとらえているかにわたしはほとんど興味を持っていません
私は逆に、はてながどう捉えるかには興味を持っていません。「プライバシーの侵害はいけない」というルールは、私にとって蓋然的かつ自明のものに思えるからです。今回、内はてな的には小谷野氏が仄めかしをし、それにつられて「個人のプライバシーが暴かれる」という事態が起っています。それに対して、チキ氏は毅然とした対処をしたでしょうか?「迷惑です」といいながら小谷野氏に貸しを作ったかにさえ見受けられます(この辺の事情は分りません、例によって「興味がない」もので)。その上で、「迷惑です」と言いつつ彼がなしてきた(と私が考える)「迷惑」に言及しないは、アンフェアです。メタベタネタを得意とする(と私が考える)チキ氏は(今も)ネタとしてプライバシーを消費しているのではないか、と私は危惧します。ですからベタ的に、チキ氏を擁護するのはかまわないのですが、チキ氏の勝手といえば勝手な(と私が考える)「メタ言説」を可能にする(しておく)のは、プライバシー保護の観点から果して得策だろうか、ということです。

noharranoharra 2007/12/23 00:23 kurahitoさん
ふーむ。「思想の匿名性」とはまた、奇想天外なことを!
>>>まず、態度の保留についてですが、発話の正当性を担保するために、発話行為の主体である「私」がどのような考えを抱いているかを示さないことは、プライバシーの権利でもあり、良心の自由と発話行為の主体である「私」の匿名性を確保し、自由な討論を確保するために欠かせないものだと考えます。それを侵すことは(端的にdemianさんが行っていますが)、プライバシー/匿名性の侵害だと考えます。<<<
kurahitoさんは自由な討論に参加する。しかし「どのような考えを抱いているかを示さない」。
ということは何を以って、討論に参加するのですか? 全く理解不能です。

>>>「プライバシーの侵害はいけない」というルールは、私にとって蓋然的かつ自明のものに思えるからです。<<<
うーん。「蓋然的」を辞書でひくと、「ある程度確実であるさま。そうであろうと思われるさま。」ですので自明とは矛盾します。
でこれを「ひとには隠している戸籍名をさらされない権利がある。」の是認と理解して良いのでしょうか? それともその点についてノーコメントでありたいのですか?

>>>私は逆に、はてながどう捉えるかには興味を持っていません。
野原もですよ。「プライバシー侵害はいけない」というルールを、あなたとわたしの間で形成し得るのか?だけがわたしの問です。

kurahitokurahito 2007/12/23 01:08 >noharraさん
>「どのような考えを抱いているかを示さない」
発話行為の主体である「私」」がです。発話の主体である私に「私」という実体を求められては困るということです。
>「蓋然的」を辞書でひくと
制度としては蓋然的、少し考えれば自明ということです。
>あなたとわたしの間で形成し得るのか?
それは残念ながら興味がありません。ホモサケルのことを思うと同時にWebを思い浮べてしまいますから。

noharranoharra 2007/12/23 08:26 再度書きます。kurahitoさんは自由な討論に参加する。しかし「どのような考えを抱いているかを示さない」。
ということは何を以って、討論に参加するのですか? 全く理解不能です。

>>>>「どのような考えを抱いているかを示さない」
発話行為の主体である「私」」がです。発話の主体である私に「私」という実体を求められては困るということです。<<<
「「私」という実体」など求めていませんよ。対話に対し誠実でない権利を私は有するという意味でしょうか?
>>>ホモサケル
アガンベンの本は一冊持っていますが読んでおりません。

kurahitokurahito 2007/12/23 08:35 >全く理解不能です。
黙秘権のようなものです。それに「どのような考えを抱いているかを「全く」示さない」訳ではありません。「発話行為の主体」云々はdemianさんが用いておられるような精神分析的な論法に乗るつもりはないということです。

noharranoharra 2007/12/23 15:52 kurahitoさん 答えない権利をめぐって。
タリバン(およびそれに付随する住民)に対する空爆が正義かどうか? 将来のアフガニスタン人民の幸せにつながるかどうか? をわたしはあなたに聞きたいです。これについても回答許否でしょうか。その場合、いままでの回答拒否と同質ですか?

kurahitokurahito 2007/12/23 16:52 >タリバン(およびそれに付随する住民)に対する空爆が正義かどうか? 将来のアフガニスタン人民の幸せにつながるかどうか?
爆撃しておいて義肢を送ったりする態度は怒りを覚えます。けれども正義について存分に語ることは出来ませんし、その欲求も少ないのです。ですから曖昧に答えることしかできません。回答することのデメリットが少ないので、「多分不正で不幸だと思います」と答えますが、今までも回答を拒否した覚えはありません。ただ曖昧にして(いる事の利益をねらって)いるだけです。回答しないことの正義(先程からずっと手続的正義を語っていると思いますが)については以下のエントリが優れています。http://d.hatena.ne.jp/toled/20071211/1197417341

noharranoharra 2007/12/23 23:21 kurahitoさん
>>>>タリバン(およびそれに付随する住民)に対する空爆が正義かどうか? 将来のアフガニスタン人民の幸せにつながるかどうか?
爆撃しておいて義肢を送ったりする態度は怒りを覚えます。けれども正義について存分に語ることは出来ませんし、その欲求も少ないのです。ですから曖昧に答えることしかできません。<<<
えーと。アフガン、イラクパレスチナについてわたしはいわゆる反ブッシュ的な明確な意見を持っており、できればすべてのひとに同意して貰いたいと思っています。しかしまあ、この対話の第一の主題は「kurahitoさんの ただ曖昧にして(いる事の利益をねらって)いるだけ」という態度がどういうものなのか?をお聞きしたいという点にあります。
爆撃が将来のアフガニスタン人民の幸せにつながる可能性がないのならそれは単に不正義である。についてはいかがですか?
「回答することのデメリットが少ないので、「多分不正で不幸だと思います」と答えますが、」と違って、「多分」を入れずに回答しうると思うのですが。
「多分」を入れずに回答すること、人に問われずとも自ら進んで判断する、ことへの嫌悪があると。それはいったい何なんでしょうか?
toledくんの文章は長いので読んでからまたRESしますね。

kurahitokurahito 2007/12/24 12:34 >「多分」を入れずに回答すること、人に問われずとも自ら進んで判断する、ことへの嫌悪がある
それは違いますね。知らないから「多分」と付けざるを得ないのですし、知る勇気がないから「自ら進んで判断」できないのです。

noharranoharra 2007/12/26 20:42 kurahitoさん
>>>それは違いますね。知らないから「多分」と付けざるを得ないのですし、知る勇気がないから「自ら進んで判断」できないのです。<<<

イラクもアフガンも確かに遠い。そんな遠いところまで軍隊を進めて弱小国の主権侵害をしているとまあ記述できるわけです。そのとき問題は、侵攻する側の自らに正義があるとする雄弁さがわたしたちを説得できるかどうか?であるはずです。国家にはそれぞれ主権があるという(正義では必ずしもないところの)常識さえあればわかることです。イラクやアフガンの現地がどうなっているのかについての知識は必要ありません。そういう風に考えられないのは、米軍に加担することが国際貢献であるとする(ちょっと考えると理屈が必ずしも通っていないところの)マスコミの宣伝を拒否できない弱さを持っているからではないですか? そういうところにこそエポケーを行使すべきなのではないでしょうか。

tolodさんの文章に興味はあるのですが今回どうも読み始めてそれ以上読み進められません。
対話継続への意志はあるのですが・・・ 野原燐

kurahitokurahito 2007/12/26 23:47 toledさんの記事は以下の部分を読んでくだされば結構です。

現職副大統領の死をきっかけに始まるドロドロとした抗争を描いた映画です。事件を受けて、大統領は女性を新しい副大統領候補に指名します。ただし、新しく副大統領を任命するためには、上院の承認が必要です。その審査において、政敵たちが女性候補への誹謗中傷を行い、妨害しようとします。しだいに彼女への攻撃はエスカレートしていき、学生時代の「スキャンダル」の疑惑がもちあがります。乱交パーティーに参加していたというのです。男性ならば勲章になるようなことが攻撃材料となるという、絵に描いたようなダブルスタンダードです。

 さて、上院での聴聞会でこの「疑惑」について詰め寄られた副大統領候補は、回答を拒絶します。それは疑惑の火に油を注ぐことになり、彼女はピンチに陥ります。で、そのあと色々とありまして。ええ、まあ映画ですので。結局はハッピーエンドです。彼女は勝利して副大統領に就任します。そのあとです。ホワイトハウスの庭で二人っきりなると、大統領は彼女に尋ねます。ぶっちゃけ、本当のところはどうだったのよと。ここで彼女は、乱交パーティに参加したことを初めて否定します。「ではなぜ聴聞会で否定しなかったのか」と迫る大統領に、彼女が答えていわく、

そうすることは、彼ら(政敵)があんな質問をしたことを正当化してしまうから。

 彼女は、疑惑を否定することが自分の利益になるとわかっていながら、上院での答弁を拒絶ました。なぜならば、そんなことを「疑惑」にすることがそもそも間違っているからです。乱交パーティーが事実であるかどうかではなく、そんなことを攻撃材料にすること自体を彼女は拒否したのです。

で、イラク/アフガンについてですが、手続的正義という点では確かに不正です。しかし、いかなる主権国家も恐らく人権侵害を行っています。とはいえ米軍による人権侵害の方が、恐らく甚だしいのでしょう。しかしまた既に米軍が行っているところの人権侵害について知ることは、恐らく私を切裂きます。若造だった私は(今も若造ですが)イラク開戦に反対しませんでした。形式的にでも反対しなかったことからくる過剰な有責性に襲われたくないのです。そんなわけで曖昧な応答を続けているのです。

kurahitokurahito 2007/12/31 15:15 この件に関しては、チキさん同様、投了ということで宜しいでしょうか。

noharranoharra 2007/12/31 17:39 kurahitoさん
RESが遅れてすみません。
いろいろ考えていたもので。
>>>現職副大統領の死をきっかけ 云々については、kurahitoさんが援用される理屈が良くわかりません。というのは、この話は
「乱交パーティーを攻撃材料にする」ことに対する作者の倫理的態度を視聴者と共有しうるという思想に基づいています。「戸籍名を暴露する」ことに対する倫理的態度を明らかにしないという立場に立った上で、「戸籍名暴露する」問題を論じるというkurahitoさんの態度に援用できないと思います。
とりあえず。

kurahitokurahito 2007/12/31 19:47 >男性ならば勲章になるようなことが攻撃材料となるという、絵に描いたようなダブルスタンダードです。
ここを援用させてください。明示的な説明をしまくらないのは環境管理型権力への批判ということにさせてください。

noharranoharra 2008/01/01 08:35 kurahitoさん 新年の挨拶をします。
ことしもよろしく。
RESは明日になります。あしからず。野原

kurahitokurahito 2008/01/01 12:26 あけましておめでとうございます。
レスは勿論、いつになっても気軽にしてくださって結構ですよ。

kurahitokurahito 2008/01/03 08:47 少し矛盾するようですが、野原さんの一連のエントリももしかしたらこの件に関係するのかもしれませんが、いつも観ているわけではありませんので、レスを下さったらTBでもしてください。