松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

日本統治時代を肯定的に理解する 韓国の一知識人の回想 [単行本]

朴贊雄(パク・チャンウン) (著)
という本を、三浦小太郎氏が書評している。
http://miura.trycomp.net/?p=391

別におかしなことが書いてあるとは思わない。「著者は日本統治が、結果として李朝時代の封建制度を打破し、民衆を解放し、かつ近代化を成し遂げたことを正当に評価している」。
日本統治は不当な植民地支配だった。朝鮮人の人権は至るところで抑圧され、経済的にも収奪されつくした。おおざっぱにはそういうことであったとしても、抑圧と収奪だけがあったわけではないのは当然だろう。

著者は、人間にとっての幸福とは、基本的人権と一定の生活水準が満たされていることだという現実的な視点にたち、それがある程度実現していたからこそ、統治時代には目立った反日独立運動が民衆の中には生まれなかったとする。これは決して現状追認ではなく、民族主義や統一幻想にしばしば取り付かれ、現実政治を無視し、時には北朝鮮独裁政権にすら民族主義の立場から宥和的になる悪しき韓国知識人への原則的な批判になっている。

基本的人権と一定の生活水準」がある程度は満たされていたと言えるのかどうか、私は分からない。


並木真人氏の論文では、「戦後も絶えない日本政府高官や一部「研究者」らの植民地支配賛美論や援護論」を批判しつつ、植民地時代の歴史をもっぱら日本帝国主義の糾弾・断罪という面を強調して描くことへの批判がなされています。「要するに、歴史叙述が政治動向に従属している状況が、現在でもなお厳として存続しているのである p3」とのことだ。

この本は一個人の回想であり歴史書ではない。しかし「親日派」をどう扱うかとか、すべて同じ問題はでてくるわけである。

読んでみたら気に入らない点も発見できるかもしれないが、そもそも知識がないからたぶん批判もできないだろう。