松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

私はなぜここにいるのか? (2)

 さて、仲パレへの参加を呼びかけるつぶやきに混じって、仲パレへの批判のツイートが直前に急増した。
 一つは東京でのしばき隊に対する批判を関西に延長させる形での批判。もう一つは、「仲良くしようぜ!」の「ぜ」という言葉を無自覚に使うところに、男性優位社会への無自覚さをみてそれを糾弾しようとするクィアフェミニストの一派からのもの。自己の存在のあり方が社会から許容されないおそれを、クィアフェミニストが持っているからであろうか、彼らは批判するから参加しないというのではなく、批判のプラカードをもって参加することを選んだ。主催者は批判を一概に切り捨てるのではなく、共存をめざす配慮を示した。
 
 そこで、私も参加してみることにした。「仲良くしようぜ!」という呼びかけは、他ならない、「左翼」内私のタイムライン内で少数派である孤独な私、にも直接響いてきたからだ。

直前に主催者の一人凛七星さんに次のようにツイートした。

@geillrim お忙しいところすみません。「朝鮮学校無償化除外に反対」を主張しない、また「朝鮮学校無償化にも反対」しない(この点萩原遼とは違う)の野原燐です。北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会会員。ですが、在特会が嫌いなのでパレード参加してもいいですか?
posted at 11:33:17

彼は忙しかったようで返事はなかった。

・・・
知り合いもほとんど居てなかったので、終始一人で歩いた。最後まで歩くのもしんどいかと思っていたが、途中百貨店で涼んだりとかしながら、音楽に浮かされて、最後まで歩いた。私をその範囲に含んでいないかもしれない共同性の祭り、という点では前記の〈済州島四三〉追悼式典と同じ面がある。しかし求心的宗教的なそれと比べると開放的であり、楽しむことができた。

終わってツイート。

なんとか無事終点までついた。途中で"劉暁波に自由を"と彼の写真を背中に付けてアピ-ル。反応もあった。ありがとう。主催者にも。at 14:52:47

生ビールナウ。さすがにこんな時反応。at 15:09:33

クィア系だが主催者側のOさん(初対面)に事後の挨拶。

最後に挨拶した野原燐です。今日は(まで)大変でしたね。ありがとうございました。実は論理的には私が一番「敵」ではないか、とびびっていましたが、皆さまの寛容にも感謝です。 at 17:58:22

凛七星さんからは、7月16日、次のようにお返事もらった。

@noharra 忙しくてリプできず、申し訳なかったです。パレードには参加できましたか?

Oさん宛てに書いたつぶやきを流用して返事。

昨日尾崎さん宛「最後に挨拶した野原燐です。今日は(まで)大変でしたね。ありがとうございました。実は論理的には私が一番「敵」ではないか、とびびっていましたが、皆さまの寛容にも感謝です」と。楽しめました。

(続き)
「実は論理的には野原が一番「敵」ではないか」については、もうすぐ意見をブログにまとめますので、ご意見を乞いたいです。

それに対して、次のように応答いただいた。

わかりました。そうそう萩原遼さんは昔オヤジが金日成批判をしてたとき、よく家まで来て取材されてましたよ。笑


という訳で、言いたいことがあったから、参加し、またここまで書いてきたわけなのですから、これから書きます。


 「反レイシズム」について質問しようかと考えていましたが、質問の仕方を変えます。

 私は、「劉暁波に自由を!」と添え書きした劉暁波とその妻の笑っている写真を、背中にしょったリュックにつけて、パレードに参加しました。
写真は解像度が低くリュックにむりやり付着させ曲がっていたので、見にくかったためもあって、何のメッセージか理解されなかったのでしょう。反応はありませんでした。*1
 仲良くしようと呼びかける以上、在日、日本人、韓国人、朝鮮人だけでなく、中国人、台湾人にも呼びかけることが必須だと思います。現在日本においても問われている立憲主義を中国にも確立したい、そう主張している私の言論の自由を認めてくれと中国国家に訴え、逆に捕らえられ十年の刑を受けているのが劉暁波です。私の感覚では今一番仲良くしたい人物は劉暁波です。そこで彼の写真を掲げたわけです。
 

・団体名のみ、あるいは反差別というテーマに関係のない特定の団体や政治的テーマに関する内容の旗・幟およびプラカードの持ち込みはご遠慮ください。※
※私たちは、「反差別」「反レイシズム」「仲良くしようや」という共通の思いを持つ個人が、それぞれの背景やその他のテーマに関する考えの相違を越えて結びつくことにより、大きな力になると考えます。参加者の皆さんに、参加者の多様性に配慮し、団結を妨げる可能性のある他の政治的テーマや特定の団体に関する内容の旗、幟、プラカード及び国旗等のパレードでの掲示をご遠慮いただくことに致しました。
http://osakaagainstracism.wordpress.com/

わたしはずいぶんいいかげんな奴で、上記の注意を読まずにパレードに参加した者です。しかし、読み返してみると、上記は排除より包摂を志向したものですね。それぞれの背景やその他のテーマに関する考えの相違は当然あるとしても「反差別」「反レイシズム」「仲良くしようや」という共通の思いを持つ個人が、相違を越えて結びつくことを目的としています。言論の自由を唱えたことによって獄中に隔離されてしまった者とも結びつくこと、は「相違を越えて結びつくこと」に最も強いヴィジョンを与えるものだと思います。
※1 そこで「劉暁波に自由を!」というスローガンを掲げて、パレードに参加することは許容範囲である事の事後確認を求めるものです。
 主催者にごちゃごちゃ文句をいうことによって、集会(大衆)を少しでも自分の主張に有利な方に引っ張ろうとする手法は、綺麗なものではないかもしれません。しかしどのようにしても生じてくるそうした問題に公開の解答という形で、参加者に開いていくという姿勢をパレード主催者が持ってきたことは、とてもよい事だったと思います。
 
 このパレードの成功は今後も何らかの形で継承されていくだろうし、それに積極的に参加していきたいという気持ちで、この質問をさせていただきます。
(途中で質問が変わりましたが、質問内容は※1です。)

お忙しいところ恐縮ですが、お答えいただければ幸いです。

2013.7.21  野原燐

*1:例外はただ一人の在日の方でした。