松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

モジモジ氏の獄中からの声

 逮捕状の被疑事実は、すべて、事実ではありません。当日現場にいた公安の警察官もすべてを見ていたはずなのに、堂々と事実と異なる被疑事実に基づいて逮捕を行ったことに、とても驚いています。
 なぜ警察がウソをついてまで私を逮捕するのか。それは私が、原発の再稼働に反対し、放射能の拡散に反対する市民運動に参加してきたからであり、とりわけ、運動の中で出会った警察の不正行為についても厳しく批判してきたからです。悪いことはなにもしていません。


 いま、私たちが暮らす日本は、そして世界は、危機的な状況にあります。(略)


 私は、いま、動くことができなくなりました。でも、諦めてはいません。こうして、私の声を外に届けることもできます。そして、もっと多くのみなさんが行動してくれれば、声をあげてくれれば、きっとまだ間に合います。
 私はとりわけ、私と同じように大学で教えている人、医師や科学者などなんらかの意味で専門家と呼ばれている人たちに呼びかけたいと思います。「無知で冷静さを欠いている」かのように見える市民にこそ学んで下さい。その声が無視され、軽んじられている人のために語って下さい。


 真実は、批判と応答を通じて初めて、姿を現します。政府をはじめとする権威が語ることではなく、その反対側に立ち、権威に対して反問することを通じて真実が明らかになるように行動して下さい。まちがってもいいのです。常に弱い側に立ち、その軽んじられる言葉や存在を擁護し、自らが仮にまちがうとしても、逆説的に、権威との言説の応酬の中で真実が明らかになるように、語って下さい。あなたの専門分野が何であるかは、関係がありません。勇気をもって下さい。


 最後に、私がもっとも深く関わってきた震災がれきの問題について述べます。大阪市は11月末に試験焼却を強行し、来年2月の本焼却開始に向けて着々と準備を進めています。
何度もあちこちで述べてきましたように、震災がれきの広域処理は誰のためにもなりません。それは被災地支援どころか復興予算の横取りであり、かえって復興の足を引っぱります。同時に、放射能をばらまき、かつ、汚染地の人々に放射能を受忍させ、加害者である東京電力の責任を軽減するものです。代償は、私たちの、子どもたちの、そして、これから生まれてくる子どもたちの命です。こんなデタラメな施策が許されていいはずがありません。絶対に止めなければなりません。これまでともに学び、取り組んできたみなさん、諦めずに戦ってください。また、これまで震災がれき問題について知らなかったみなさん、是非、今からでも知って力を貸して下さい。これは、私たちの未来そのものを守るための戦いです。


 私はいつ出られるかわかりません。でも、いつかきっと出られます。姿は見えなくても、心はともにあります。この間、不当に逮捕されている他の仲間たちもきっと同じ気持ちです。みなさんに会える日をたのしみにしています。


2012.12.12 下地真樹

http://blog.goo.ne.jp/garekitaiho1113/e/79c68fd4e86da4ec02b2e01a5188052b

モジモジさんは今も獄中に居る

Pさんも今も獄中に居る

Hさんも今も獄中に居る

獄中に居るということは私が獄中にいないという事である。
さらに上の3人以外の人も獄中に居る。
世界から切り離されて。


松下昇の「歯みがき粉」という奇妙な題の文章を読んでいた*1。逮捕は着の身着のままで突然連れていかれる、で長期間宿泊することになるのでタオル、石鹸、チリ紙、歯ブラシ、歯みがき粉の五点セットは支給されるらしい。*2で、その続きに、「持病や負傷のための薬品類を持っていて持続的使用を主張しても拒否され、翌日以後に拘束施設内の医療機関で支給される、必ずしも症状回復には役立たないもので辛抱させられる。」とさりげなく、書いてある。
友人の話では、上記Pさんには持続的服用しなければならない薬があったのに、やはり服用できなかったらしい。ひどい話である。犯罪者でもない被疑者に対し嫌がらせをすることを日本国家とわたしたちは許しつづけてきた。


獄中者を思うことは、彼と私の間にあるごくわずかな壁、国家について意識することだ。
選挙が、主権を譲渡するための儀式であることがこれほど明白な選挙もめずらしい。一介の弁護士にすぎなかった橋下徹と一介の大学講師にすぎないモジモジ。「真実は、批判と応答を通じて初めて、姿を現す。」という主張の自由を逮捕という強権的手段に抗して貫こうとする男と、テレビでの人気を頼りに抵抗勢力を押しつぶそうとする男。
 幸か不幸か大阪での闘いには、国の将来がかかっているようにも見える。

*1:今ネットにup。http://666999.info/matu/tate/t64hami.html

*2:1970〜80年代の話。今では歯みがき粉はないだろうと思うが実際はどうなのかな?