松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

「当たってんじゃねぇかw」の効果

教科書にそう言う記述があるというのが事実ならば「お前が言うな」とは思いますが、あながち間違いではない。
http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20100923/1274085956

「あながち間違いではない」には同意します。
twitterでは@noiehoieさんという方が「当たってんじゃねぇかw」、と呟き、なんとRetweeted by 13 people されています。これこそわたしに言わせると、「おしなべた原罪意識」の勝利ということになります。http://twitter.com/noiehoie/status/25195080789
2002年9月、小泉訪朝、平壌宣言時に拉致が明らかになったわけだがこの問題をこの教科書では二ヶ所に分けて取り上げる

一方、アメリカにおいてブッシュ政権(2001.1)が成立したのを契機に朝米関係はふたたび緊張関係にもどって、2002年9月、朝日平壌宣言発表以後、日本当局は《拉致問題》を極大化し、反共和国、反総連、反朝鮮人騒動を大々的に繰り広げることで日本社会には極端な民族排他主義的雰囲気が醸成されていった。
在日同胞の社会でも世代交代が完全に行われ、3世、4世が多数を占めるにしたがって、新たな要求と志向が提起された。

p122にこうあるのですが、赤字で示したnoiehoieさんが引用した部分はよく分かるのですが、なぜそれが「朝米関係が緊張関係にもどった」ことと同じ文章に構成されなければならないのかさっぱり分かりません。

(略)欧州連合をはじめ資本主義諸国が共和国と外交関係を結ぶようになった。
2002年9月17日には歴史的な朝日平壌宣言が発表された。
半世紀以上、共和国を敵視したり遠ざけていた諸国が(略)

p143にはふたたび「朝日平壌宣言」が今度はゴシックで強調され、「歴史的な」という形容詞付きで現れる。しかしそれ以外には日付しかない。小泉のコの字もない。
在日の生徒のために編集された教科書で、1990年以降に本の半分以上84ページも割きながら、一番大きな出来事として取り上げてしかるべきと思われる、朝日平壌宣言と拉致問題について、合わせて1行半しか書いていない。これはどう考えてもはなはだバランスの悪い、トンチンカンな教科書だということになります。

萩原遼氏はこう批判しています。

 拉致は事実無根と強弁していた金正日政権は、内外で孤立するなかで小泉首相にすり寄って日朝国交正常化を画策。拉致を認め謝罪した。ところが朝鮮総連金正日ほどの反省もない。三年用の現代史教科書にはこう書いている。

 「アメリカでブッシュ政権の登場を契機に朝米関係は緊張状態に戻った。二〇〇二年九月朝日平壌宣言発表以後、日本当局は『拉致問題』を極大化し、反共和国、反総連、反朝鮮人騒動を大々的に繰り広げることによって日本社会には極端な民族排他主義的なふんいきが作り出されていった」(一二二頁)

 小泉首相の訪朝は、金正日の密使が「拉致を完全に解決します」といって小泉首相を呼び寄せた事実を森書朗元首相が雑誌で公表している。ところがまったく反対を教える。

 二〇〇二年九月十七日には歴史的な朝日平壌宣言が発表された。
 半世紀以上共和国を敵対視したり遠ざけてきた諸国が共和国政府を正式に認め関係改善の道に踏み切ったのはアメリカの国際的な『対朝鮮包囲環』がくずれ、反共和国孤立圧殺策動が危機に瀕するようになったことを示している」(一四三頁)

このできの悪い教科書をnoiehoieさんは見事にトリミングし、「おしなべた原罪意識」にのせて反反北朝鮮宣伝に成功してしまうわけですね。