松下昇への接近

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3/9 尼崎市役所の派遣労働者が無期限ストに突入

兵庫県尼崎市役所の住民票入力オペレーターの派遣労働者が無期限ストライキに突入した。そのことの取材含めて出張に出る。

今回のストライキは、 尼崎市役所の住民票入力オペレーター5人が、かねてより待遇改善を求めて交渉をしてきた中で、2008年2月18日市長の指示で次年度の入力業務は一般競争入札で決めることを通告し交渉を打ち切ってきたために発生。尼崎市に拠点をおく地域労組・武庫川ユニオンの組合員5人が争議権にもとづく無期限ストに突入した。
 一般競争入札となれば、安い業者に落札される。使うコンピューターは市のもの、勤務人数は固定、そうした中で価格だけで派遣業者が決められれば、人件費を叩いている業者が落札することになる。派遣業者に雇用責任が義務付けられていないもとでは、現在働いているオペレーターは失職する。

 現在、オペレーターの所属する武庫川ユニオンの支援のもと、5人は庁舎に隣接した橘公園でテントを設営し、抗議の座り込みを続けている。
 支援者や各団体には、スト支援カンパと、抗議文を尼崎市長に送るよう要請している。

 昨年は、偽装請負であることを市役所が兵庫労働局に指摘され、改善指導を受けている。そして今年は、民間労働者に対する発注者責任逃れ。場合によっては不当労働行為になりかねない話でもある。

 問題は、こうしたことを行政改革の文脈だけで指揮している白井文市長である。左派が担ぎ出した改革派市長である。左派に支えられながらも、年収 150万円の労働者がクビを切られていくことがどのようなことか、適切な想像力を働かせることができなかったことに、深刻な事態があると思う。

 もちろん財政問題は片付けなくてはならないことである。しかし住民票入力という自治体にとって欠くべからざる業務を時給1000円前後でやってくれる労働力をぎりぎり詰めていったい何が生まれてくるのだろうか。当事者の話を聞けば、法律的知識、守秘義務、正規の公務員以上の厳格さを求められる業務だという。報いてほしいものだが、せめて人件費ダンピングにつながることが見え見えのことにGOサインを出さないように、祈るばかりである。

 自治体はさまさまな業務を民間業者に委託している。その中には、偽装請負につながりかねない問題や、ワーキングプアを作り出している現実がある。自治体の委託する事業は、公共事業以外は、労働集約型の業務が多く、発注費の抑制が人件費のダンピングに簡単につながりやすい構造にある。自治体が発注者責任が問われることはなく涼しい顔をしているのはどうなのだろうか。
また、ストライキということから、労働基本権の問題も出てくる。そのことの議論にも一石を投じることになるのではないか。

 また、派遣労働力が、波動的な労働需要ではなく、常時必要な労働力に使われながら、一方で雇用主責任が明確ではない現状の問題点もまた浮かび上がっている。
http://kurokawashigeru.air-nifty.com/blog/2008/03/39_5321.html

とても興味深いニュースなので全文転載させていただきます。
守秘義務」という文言が契約書に明記されてあったとしても、時給1000円前後では実際問題、空語にしかならないだろうみたいな気もする。おかしな感じ方だろうか。