松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

竹林さんのブッシュ宛書簡について

 上記竹林さんの書簡、改めて読んでみた。読む前たぶんいくつも違和感があるだろうと予想していた。しかしそれはなかった。
大変ストレートで分かりやすい。それだけでなく右翼も左翼もずーっと直視せずにあいまいにやり過ごしてきた、戦後すなわち日米関係の開始に関わる二つの問題が直視され、「アメリカが1945年以来日本民族と人類に対して犯した二つの犯罪」と端的に批判されています。
天皇の戦争責任の赦免とその権威利用」が「日本が真の民主主義社会になることを妨げる」原因になったという論理はどうなのか。「天皇の戦争責任の赦免とその権威利用」はなによりも日本の支配階級がどのような犠牲を払おうとも獲得しようとしたものであり、日本の大衆はまあそれほどためらいなくそれを再び受け入れた。主体はやはり日本人であり、アメリカが原因であるとするべきではないと私は思います。しかし江藤淳が提起した東京裁判批判を中心にして右翼と左翼が配置されるという日本の戦後論壇において、みごとに隠蔽され続けたのがこの米国の「天皇責任免除」問題であった、のは事実である。この問題を真正面から取り上げたのは評価に値します。
 世界平和や憲法9条といった自分が絶大な価値をおいているであろう言葉に頼って文章を展開しようとせず、文字どうりブッシュをも説得可能な普遍的理屈と事実の重みによって語ろうとしていること。これも素晴らしいと思った。
(3/4記)