松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

死刑は廃止すべきだと私は思います。

 仮りに私自身がひどい犯罪の被害者になったとして、できることは結局相手を本心から改心させることしかありません。復讐心を満足させるという点に付いてはその動機自体あまり高いレベルからは優れたものでないとたぶん言われるものでしょう。なんらかの報復といったものがあらねばならいということを(すこし譲って)認めるとしても、問題が残ります。国家にそれを委任することが妥当かどうかです。国家は国家なりの思想や利害関係を持っているものです。国家が正義を常に指向しているなどと誰が保証してくれるのでしょうか。国家が正義を常に指向すべきものであるとしても、それは当為にすぎず、人を殺すという絶対性を獲得するまでの絶対的倫理の高みなど獲得しえた国家はいまだ存在し得ていません。なにより問題のなのは、自分にとっての絶対的「許せなさ」を国家に安易に譲り渡しその上でぐずぐず苦情を言ったりする、底抜けの甘えです。(野原燐)
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