松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

海は不在である

モンゴルには海がありません。でもそのためにモンゴル人は逆に
海という言葉を崇拝しているみたいなところがあるのだそうです。
モンゴル語で海のことをダライと言い、一番大きなものという
意味にもなります。ダライラマのダライですね。
飛行機の窓からちらっと見た以外に海を30歳過ぎまで見たこと
が無かったのがこの本の作者のボヤンヒシグさんでした。
彼の海との最初の出会い。その後何度も海に行き、海藻なども
よく食べてみる。だが彼はその短い文章の最後に書きます。
「しかし、海は僕にとって相変わらず、遠い存在で在るのだ。*1」と。

私たちが言葉を体験するということがどういうことなのか、
に関わりイメージと思索の広がりを誘う文章でした。

以上、過去のメールからの自己引用。

*1:『懐情の原型』ボヤンヒシグ 英治出版 より