松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

性奴隷とは何か・メモ

fight for justice のブックレット3冊でているが、そのうちの2を読んだ。
『性奴隷とは何か』という題だったのか。図書館に返し、7枚コピーを取った。


論点をいつかメモしておく。

1,娼妓や芸妓の多くは債務奴隷だった。

1872年芸娼妓解放令、の後1896年大審院で「身体の拘束を目的とする契約は無効だから、娼妓が貸座敷に対して一定の年期の間労務に服するとする契約は無効であるとの判決がでた。p48

2,日本国家は対外的にどのような言い訳を?

 日本には人身売買は存在しない。芸娼妓は自由の拘束は受けていない。前借金契約と芸娼妓契約は別々の契約なので、債務を背負っていたとしても廃業が可能であるから人身売買は存在しない。(1931年東洋における婦女売買実地検査の件)

3,期間内は廃業できないはダメ。

たとえば、吉見裁判(四〇頁参照)における被告側「第三
準備書面」(二〇一四年七月七日)で引用されているケースがそれに該当し
ます。
一、被告・桜内文城衆議院議員(当時)は、「慰安婦=性奴隷」は吉見義明さ
んのねつ造であるとの意見を展開するに際し、その「第三準備書面」(八頁)
において、ビルマアメリカ戦時情報局心理作戦班が作成した「日本人捕虜
尋問報告第四九号」の和訳の一部「一九四三年の後期に、軍は、借金を返済
し終わった特定の慰安婦には帰国を認める旨の指示を出した」という部分を
あげています。このことを、「慰安婦」が性奴隷ではない証拠にしようとし
ているようです。しかし、米軍が聞き取って記したこの内容がもし真実であ
るならば、これは「慰安婦」が性奴隷でない証拠にはなりません。むしろそ
の逆です。「借金を返済し終わった特定の慰安婦」に帰国を認めたというこ
とは、借金を返済し終わっていない「慰安婦」の帰国する自由は認められて
いないことになるからです。こうしたことは、芸娼妓契約と前借金契約とは
別々の契約であり、借金を返済していなくても自由廃業できるとした大審院
判例や、当時の日本政府の公式見解に反していたと言えます。前述のよう
に、借金を理由に女性の廃業を妨げてはならないことになっていたからです。
p50

4,

1990年6月、参議院議員(当時)の清水澄子さんと本岡昭次さんが国会質問。
従軍慰安婦についても触れた。「従軍慰安婦」について、当時の労働省職業安定局長が「いや、軍は関与していない。民間の業者が連れ歩いた」という答弁をした。
韓国ではその前から、尹貞玉(ユンジョンオク)先生が調査・研究を初めていた。
この答弁を聞いた韓国の女性運動が本格的に取り組みをはじめ、それが金学順(キムハクスン)のカムアウトにつながった。 p68

5,

1996年、国連人権理事会に提出しようとしたが撤回に追い込まれた日本政府文書
(クマラスワミ報告書に対する反論文書)
日本政府は反論しようとしたがうまくいかず、51対1で敗けるところだった。司会国カナダが全会一致で採択しようとし、「留意するtake note」を付けて全会一致で採択した。
p72
この秘密文書には「クマラスワミ報告書は国際法の解釈がまちがっている」など書いてあったが、突っ込みに耐えられなかったためかすぐに撤回。それ以後それに変わるちゃんとした反論は提出されていない。

6,「性奴隷(制)」という言葉

が国際社会で使われるようになったのは、わりと新しい
1993年の国連世界人権会議(ウィーン会議)ころから。 p117