松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

「特定秘密の保護に関する法律案」について

説明のpdf(注)は、「情報漏えいに対する脅威が高まる中」というフレーズから始まる。「情報漏えいに対する脅威」とはなんだろうか、アサンジとかスノーデンとかいう人が派手なことをやらかしたという噂は聞いている。日本でも海上保安庁のビデオ流出事件とかあった。いずれも重大な「情報漏えい」事件であろう。しかし、一人の市民としては、「情報漏えい」しなければそうした情報を一切知ることができなかったわけである。その方が良かったのだろうか。私はそうは思わない。国民主権の建前がある以上、物事を「情報漏えいの禁止」から考え始めるのは大きな誤りである。情報を国民に隠すだけの危険性が充分ある場合だけ、情報は秘匿されるべきであり、そうでない場合原則的に公開されるべきである。
上であげた3つの例については、秘匿されるべき十分な理由があったとは必ずしも思えない。「情報漏えい」は真に危険ではなくでも担当官庁の他の官庁に対する利害や、首相や政治家との利害の相違、そして国民に公開すると少なくとも一部の市民が騒ぐだろうという怖れ、などによって担当官庁は「秘匿すべき」と判断する。そうした例がはなはだしく多いことは十分に予想されることである。
「情報漏えいに対する脅威が高まっている」からそれを何とか防止していかなければならない、という前提に立っている「特定秘密の保護に関する法律案」を制定することには反対する。


(注)http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000103649