松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

きみたちの仮装をはぎとり

これらすべてのときに生じる不安を階級関係と対応させて新しい組織をつくりだしていく。そのとき、同時にきみたちの仮装そのものをはぎとりながら。
(松下昇 「六甲」第5章)

なんらかの事情で国内亡命者になってしまった者。彼らだけが作り出す、新しい文化を。*1
国内亡命者というのはこっけいな存在である、常識的には存在しない差異にこだわって、自分で自分を不幸にしている。全共闘世代によくあったのは東大構内に入れないとか成田空港に入れないとか。まあそんなことはどうでもよいが。ある種の中国人はある日付には自宅を出ない自由を持つ。*2
仮装とは? ある建物や会議室に入ろうとしてidを忘れた(持っていない)場合、他人のidを利用するしかない。この当たり前のことを指摘しているのが「仮装」である。
〈あなた〉が会議室に入る、つまり討論に参加する権利は認められなければならない。これが全共闘の基礎を構成するいくつかの命令の一つである。
この常識においてメンバー外の仮装は必要とされる。このとき、正規メンバーは逆に「国内亡命者」意識を持つようになる。


不安。メンバーシップというのは自己の常識の基礎でありそれを疑うのは、難しい。したがってそうした問題意識はまず、不安をもたらすものとして現象する。
あなたの不安とわたしの不安を対話させることが出来れば、「新しい組織をつくりだす」ことができる。
「新しい組織をつくりだす」ことができなければ、あなたの不安とわたしの不安を対話させることは出来ない。

*1:演劇の素質があるかなと思う子を見るときまって、学齢期にいじめられたり登校拒否になった経験を持つ、というようなことが先日新聞に乗っていた。同じような文章は何度も読んだ。

*2:記念日にあたる6月4日前後と10月1日前後には人権派弁護士のほぼ全員に監視が付いた。