松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

北朝鮮収容所の20万人を見捨てるな!

「李大統領が、北朝鮮の人権問題に関心と情熱を示していることに鼓舞した。最も肝心なことは、『沈黙は北朝鮮住民に死を意味する』ということだ。世界が関心を持たなければならない。ルワンダで100万人が死んだというが、北朝鮮では300万人が餓死した。世界が2000人のミャンマー政治犯について語るが、北朝鮮は20万人が政治犯収容所に囚われている。毎日、多くの命が収容所で、そして飢餓で倒れている。これは虐殺であり、『進行中のホロコースト』だ。この数年間、金正日キム・ジョンイル)政権は、フォーカスを核問題に合わせるようにし、世界は彼が課題を主導するようにした。今や、大いに人権問題を話し合わなければならない」
http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2008090491828

進歩陣営では、人権問題を取り上げれば、北朝鮮政権がさらにドアを閉め、北朝鮮住民の苦痛がひどくなると主張するが…。

「そのような主張は、10、20年前は妥当な主張だっただろう。しかし、太陽政策で試してみたではないか。結果は失敗だった。太陽政策の結果は何か。より多くの北朝鮮住民が死んだ。どれほど多くの住民が死ねば、人権弾圧を止めさせるのか」

金正日政権が突然崩壊すれば、手に負えない状況が訪れるので、ソフトランディング(軟着陸)を図らなければならないという主張もある。

「真のソフトランディングは、北朝鮮住民が自ら声を上げ、金正日に圧力を加えることから始まる。北朝鮮住民たちが自ら立ち上がることが、持続可能な唯一のソフトランディングだ。これまで(韓国や米国が)してきたことは、金正日をいかにしてなだめ、現状を維持するかということだった。北朝鮮住民に何が最上なのかを話し合わなければならない」

第9回ソウル平和賞受賞者に選ばれた米ディフェンスフォーラム財団(DFF)のスーザン・ショルティ代表という人が上のように述べている。
わたしは北朝鮮人権問題が(日本から世界を眺めた場合の)最も重要な問題だと考えてきた。
日本の戦後社会は対米従属のコンプレックスを一方で朝鮮・韓国あるいは中国への差別意識を持ちつづけることで持続させてきた。朝鮮・韓国あるいは中国に対するレイシズムとの戦いというかすかな努力は、例の「めぐみさん」プロパガンダによって吹き飛ばされてしまった。このような構造を正面突破するためにも、北朝鮮人権問題を左翼の立場から強く主張していくことが必要である。
北朝鮮の挑発は日米の軍需産業およびそれにつながる勢力にとって(むしろ)必須のものであることを、先日の北朝鮮人工衛星騒動は明らかにした。私は何度でも言うがたとえ10人の日本人が死ぬことになろうとも、MDとかいうものに巨費を投じるよりマシである。


金正日政権が突然崩壊すれば、手に負えない状況が訪れる」という国家の論理(およびレイシズムの論理)を乗り越えて、生身の北朝鮮の人々との連帯をすなおに求めていこう。わたしが言っているのはものを考える時の基本姿勢についてである。したがってその時点ではなんのデメリットもない。

難しい。チベットウイグル民族をめぐる中国の問題も同じだけれど、日本にいる自分が「北朝鮮」について「語りづらくしている何か」がなんなのかをもっと見極める必要があると痛感する。
http://d.hatena.ne.jp/tzetze/20080921/p3

わたしは日本人か。ひょっとして満洲に行き満洲国人となった(日本人)の子弟であるのではないか。そのように語る人のほとんどがそれほど時を経ずに素朴な差別主義者に頽落していった歴史というものがあるのかもしれない。日本人という存在様式は戦前も戦後も、朝鮮・中国人への抑圧といった傾斜をそのうちに孕んでいるだろう。戦後の宋斗会さんの軌跡に学んだ*1などと言うだけでは、なんの権利も獲得し得ない。だが「反省」というポーズあるいは上品な遠慮は、何も解決せず「ホロコーストの持続」に有責である。