松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

わたしたちは知る権利を持っていたのか?

ペシャワール会の伊藤さんが誘拐されたという事実があった。そしてわたしたちはある日、新聞の1面でそれを知らされた。しかし、わたしたちはそれを知る権利を持っていたのだろうか?

「ジャララバード周辺では現地の金持ちを対象にして度々こういう誘拐は起こる。外国人の誘拐は余りないけれど…。でも、単なる誘拐ならば、ちょっとしたお金で解放される。誘拐した人たちは(現地では)わかっているので、村人たちが解放の窓口になって交渉をしているだろう。
(略)
http://blogs.yahoo.co.jp/kimagure_obahan/43390459.html

 伊藤さんの事件は事情もまだよく分からない部分があるし、日本で大きく報道されたから死に至ったという因果関係があるとも言えない。
誘拐者は最初殺すつもりはなかったとも言われている。話が大きくならず内々で処理できれば死なずに済んだ可能性もある。で、最初の問いに戻る訳だが、わたしたちはあるNGOの一職員の安否についてのニュースをほんとに知りたかったのだろうか? あるいは知る権利を持つのだろうか?
 ミャンマーで殺された長井さんの場合はこのようなことは考えなかった。長井さんを殺したのはビルマ独裁政権でありそれに対しては熱意に濃淡はあれ、抗議の意志を日本人みんなが持っているといってもそれほど問題ではないからだ。というよりも世界中の広範な人々がそうなわけだが。
 世界中でNGOの職員が殺されることなどいくらもある。オリンピックと同じで、対象者が日本人であるときだけニュースになる。まあそうしたシニカルな言い方は良くないだろう。日本人というのはきっかけにすぎずそれによってある事件とその背後にある問題の複雑さに気づいていけるならそれでよいのだから。
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ペシャワール会」は、20年余りの地道な取り組みで住民と信頼関係を築き、日本人NGOの代表的存在として知名度も高い。毎日新聞社説が書いているように、同会は日本政府の資金を受けず、2万人の会員と年3億円の募金で活動を支えてきた。
(略)
 日本は、01年以来、ブッシュ政権の「対テロ戦争」の一環である<不朽の自由作戦>に参画してきた。作戦の後方支援として海上自衛隊をインド洋に派遣し、洋上給油活動を続けてきた。世論の圧倒的な批判、反対の声を衆院の数の力で押し切り、ブッシュの戦争に与してきた。
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/8a0bb46e090bea69177888babe3b0d30