松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

被拘束空間・語彙集(刑務所?)

突然だが、小さな語彙集を転載する。
「被勾留者所内生活の心得」から抜き出したものらしい。

1. 願(がん)せん=いろいろな願い出をするときに使用する用紙のこと。
2. 官物(かんぶつ)=施設の所有にかかる物品(施設から貸与されえているもの)。
3. 私物(しぶつ)=個人の所有にかかる物品。
4. 自弁(じべん)=差し入れを受けた物、領置の物あるいは自己の領置金等で購入した物を施設内で使用すること。
5. 拭身(しきしん)=身体をタオルなどで拭くこと。
6. 検身(けんしん)=身体に不正物品の所持がないか、検査を受けること。
7. 領置(りょうち)=被収容者の金品を監獄法に基づき、施設において強制的に保管すること。
8. 仮出(かりだし)=領置している物品を許可を得て所内(房内)で使用すること。
9. 宅下(たくさげ)=領置している物品を許可を得て外部の特定の人に対して郵送又は施設(面会時等)において交付すること。
10. 午睡(ごすい)時間=昼食後、所定の方法により横臥(昼寝)を許可した時間。
11. 休庁日(きゅうちょうび)=土曜日、日曜日、国民の祝日及び年末年始の休庁期間その他特に指定した日。
12. 情願(じょうがん)=自分に対する施設の処置について、法務大臣及び巡閲官に対して書面又は口頭で不服申立てをすること。
13. 検閲(けんえつ)=発受信する信書の内容を施設が検査すること。
14. 懲罰(ちょうばつ)=規律違反者に対して科し、反省悔悟させるための制裁のこと。
15. 訓戒(くんかい)=懲罰事犯より軽度の規律違反者に対して科し、反省を促すもの。
16. 官本(かんぽん)=施設が備え付けている本。
17. 私本(しほん)=自弁に係る本。

 その他に、交談(こうだん)、洗身(せんしん)、動作、閉房点検、喫食(きっしょく)、糧食(りょうしょく)、横臥(おうが)、指印(しいん)、閲読(えつどく)、金品、房内放送、認書(にんしょ)、図画(とが)、臥具(がぐ)、ズロース、サルマタ越中ふんどし、配食、空下げ(からさげ)、抗弁、医務、捜検、中腰、かしわ折り、等があった。
http://ma-bank.com/item/294

 被勾留者といい、被収容者というのは、日本書紀の言葉によれば、“獄中囚”(ひとやのなかのとらへびと) ― 孝徳紀大化二年三月条 ― のことである。
 私は、獄(ひとや)にとらわれた囚(とらへびと)であり、看守は、獄卒(ひとやつかひ)であった。このような古い時代の言葉が、生々しい現実味を帯びて迫ってくる世界がここにはあった。
(同上)