松下昇への接近

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原爆投下は戦争犯罪である。

★「原爆投下は戦争犯罪」、国際民衆法廷が判決文 広島

広島、長崎への原爆投下を国際法の視点から検証しようという「原爆投下を裁く国際民衆法廷・広島」の判決公判が16日、広島市で開かれ、判事役のレノックス・ハインズ米ラトガーズ大教授(国際法)らは「正当化できない戦争犯罪」などとする判決全文を言い渡した。市民団体などでつくる同法廷の実行委員会は「久間前防衛相の発言に象徴される原爆正当化論に対抗する法的基盤にしたい」としている。

原爆投下が犯罪と認定されなければ核廃絶は実現できないとの考えから、当時の米国のトルーマン大統領ら15人を被告に、国際法学者らを判事役・検事役にして、昨年7月に裁判形式で開廷。その際、判事団は原爆投下を国際法違反とし、全員を有罪とする判決を言い渡したが、要旨だけだった。

判事団はその後1年がかりで被爆者や専門家の証言、米国立公文書館の機密解除文書などを証拠に判決全文を起草し、この日朗読した。

判決は、原爆投下は民間人を無差別に攻撃対象としており、当時の国際慣習法に照らして違法な戦闘行為だったと指摘。生存者の多くに原爆放射線による深刻で長期にわたる苦痛を与えているのは「人道に対する罪」にもあたるとした。

asahi.com 2007年07月16日20時52分)
http://news22.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1184590888/
【歴史】「原爆投下は戦争犯罪」、国際民衆法廷が判決文 広島

E 法的結論
30 さて当法廷は、事実に適用される国際法に照らして、法的結論を下す。当法廷は、前記の認定事実に鑑み、民間人に広範な影響を与える兵器の使用について、第一に適用される国際法は、「戦争の法規および慣例」であると結論する。これはハーグ国際司法裁判所の1996年の勧告的意見で、そう呼ばれているもので、
(a) 1868年サンクト・ペテルスブルグ宣言、 (b) 1899年と1907年のハーグ諸条約、特に附属の陸戦の法規慣例に関する規則、 (c) 1907年ハーグ第4条約の前文にあるマルテンス条項  (d) 1864年、1906年、1929年、1949年のジュネーヴ条約(1996年の国際司法裁判所の勧告的意見判決の75項)である。

31 当法廷は以下の指摘を行う。1996年のハーグ国際司法裁判所も認めているように、「戦争の法規および慣例」は、「・・軍事行動を行っている交戦国の権利と義務を定め、国際的武力紛争において敵国に損傷をおわせる方法の選択と手段を制限している(1996年ハーグ国際司法裁判所の勧告的意見の75項)。ハーグ国際司法裁判所が1996年の勧告的意見で述べていたように「サンクト・ペテルスブルグ宣言」は、国際慣習法の基本であり、それは、本訴訟に適用される国際人道法の2つの一般原則に関係がある。2つの一般原則とは、以下の2つである。a)敵に損傷を与える権利は無制限ではない b)不必要な苦痛をもたらす戦闘手段は禁じられる。

32 加えて国際司法裁判所は、ジュネーヴ条約(1864年、1906年、1929年、1949年)が戦争犠牲者の保護を定め、負傷した軍人および非戦闘員の保護を目的としていることから、今日では「戦争の法規および慣例」は、しだいに一つの複合的な体系となり国際人道法として知られるようになった(1996年国際司法裁判所リポート、226~227ページ)と述べている。

33 当法廷の信ずるところでは、国際司法裁判所の勧告的意見は、本訴訟に適用される
条約規定つまり1899年と1907年のハーグ条約にはじまり今日までの条約規定を要約したものであり、無差別的効果をもたらす兵器の使用は、本質的に、既述の条約および国際慣習法に違反すると考えられている。当法廷は、民間人に戦争をしかけたという事実および意図が、暗黙のうちに兵器の選択に反映されていることを認め、いかなる抗弁も認められない。

34 また当法廷は、1907年ハーグ第4条約前文にあるマルテンス条項を遵守する。
マルテンス条項では「戦争法の一層完備した法典が制定されるに至るまでは、締約国は、彼らが採用した規約に含まれていない場合でも、人民および交戦国は、文明国の間に確立している慣行、人道上の法則、および公的良心から生ずる国際法の諸原則によって保護され、その支配の下にあるとみなすのがよい。」と宣言している。
35 当法廷が注目しているのは、 マルテンス条項によって確立された規範は、多数の国際慣習法から成り立っており、それが諸国家に慣行を知らしめ、核兵器の使用を禁止してきたことである。同様の結論は、国際司法裁判所も到達した結論であり、以下の通りである。
「最後にマルテンス条項に触れるが、同条項が絶えず存在し適用されてきたことは疑いの余地がなく、人道法の原則および規定が核兵器にも適用されると確認する。」(国際司法裁判所 1996年勧告的意見 判決87項)

36 以上のことから、当法廷は、1996年の国際司法裁判所の勧告的意見に賛成する。
勧告的意見は「・・人道法は、ごく初期の段階では、特定のタイプの武器を禁止した。その理由は、戦闘員および民間人へ無差別的効果をもたらすこと、あるいは戦闘員へ不必要な苦痛をもたらすことであった。・・ある兵器の使用が予測された場合、それが人道法の要件にそぐわないならば、そのような兵器の使用について威嚇するのも同様に違法である。」(国際司法裁判所 1996年勧告的意見 判決78項)

37 さらに当法廷は、国際司法裁判所が、国際人道法の根幹をなす原則を以下のものであると宣言していることに注目する。すなわち「・・国際人道法の第1原則は、民間人および民間施設の保護であり、戦闘員と非戦闘員の区別を定める。国家は、民間人を攻撃目標にしてはならないし、民間の目標物と軍事目標物を区別することができない兵器を使用してはならない。第2原則によれば、戦闘員に不必要な苦痛をもたらすことは禁じられ、従って戦闘員にそのような損傷をもたらしたり、意味もなく苦痛を悪化させる武器を使用することは禁じられる。国家は使用する武器について無制限の自由をもっているわけではない。」(国際司法裁判所1996年勧告的意見 判決78項)

38 当法廷は、核兵器の使用に関する国際司法裁判所の勧告的意見が「核兵器による威嚇または使用は、一般に、武力紛争に適用される 国際法の規定に違反するであろうし、とくに人道法の原則および規定に違反するであろう」と宣言していることを認める。(国際司法裁判所 1996年リポート 法廷決議 e 項)

39 こうした原則を考慮して、当法廷は、被告人らが広島と長崎に核兵器を使用したことは、武力紛争に適用される国際人道法の原則および規定に照らして違法である、と判断する。すなわち両都市への原爆投下は、民間人を攻撃対象としており、民間人と軍事目標を区別できない核兵器を使用し、その結果生き残った民間人たちに不必要な苦痛をもたらしたのである。

40 国際法を「人道に対する罪」に適用するにあたり、当法廷は、国際法の以下の法的側面を検討する。
a) 窒息ガスあるいは有毒ガスの拡散を目的とする発射兵器の使用を禁じた1899年7月29日の第2ハーグ宣言
b)「 毒及び毒性兵器の使用は、とくに禁じられなければならない」とした1907年10月18日のハーグ第4条約付属陸戦の法規慣例に関する規則第23条(a)
c) 「窒素ガス、毒素ガス又はこれらに類するガス及び細菌学的手段の戦争における使用を禁じた」1925年6月17日のジュネーヴ議定書
d) 「第2 次世界大戦中の民間人に対する非道な行為、戦争法規および慣習に違反する行為」に関する極東国際軍事裁判所憲章第5条(c)
「人道に対する罪」に関する上記の法的側面を包括的に検討すると、当法廷は「人道に対する罪」とは、一般市民にすさまじい損害をもたらす犯罪であるとみなす。これらの犯罪は文字通り人間性を破壊し、人間の良心を破壊する。また、文明の思想及び哲学をも破壊する。
当法廷は「人道に対する罪」には、以下の要因が含まれるとみなす。(1)加害者は、非人道的な行為によって、多大な精神的肉体的苦痛、及び(あるいは)深刻な身体的損傷を与えた。
(2)加害者は、その行為を特徴づける事実環境を知っていた。(3)その犯行は、民間人を直接狙った広範又は組織的な攻撃として行われた。(4)加害者は、その行為が民間人を直接狙った広範又は組織的な攻撃であり、あるいはそのように意図されたものであることを知っていた。
以上の観点から、当法廷は「人道に対する罪」の特徴的要因は、被告人らの広島と長崎への原爆投下によって証明されたと判断する。

41 当法廷は、広島と長崎への原爆投下が、即死者のほかに、多くの民間人に、深刻で長期にわたる身体的精神的苦悩と苦痛を与えたことを認定する。原爆投下の実行者たる被告人らは、民間人に対するこうした深刻で壊滅的な損害が原爆投下によって生ずるであろうことを理解していた。即死者の他に、損傷を受けたり、放射性物質にさらされた結果に苦しめられる民間人がいることを、被告人らは知っていたし、知るべきだった。最後に、当法廷は、被告人らが、原爆投下を、対日戦争を終わらせるために、はっきりした形で民間人に加えた組織的攻撃の一部であったと思う。それゆえ当法廷は、被告人らの違法な行動すなわち広島と長崎に原爆を投下したことは、「人道に対する罪」であると結論する。

42 次に当法廷は、適用される国際法に照らして「戦争犯罪」の問題を扱わなければならない。この問題に関する判決を下すにあたり、当法廷は以下の国際法の諸原則を考慮する。
a)戦争犠牲者を保護する国際的慣行の原則を確立したマルテンス条項
b)1907年10月18日のハーグ第4条約附属陸戦の法規慣例に関する規則第22条
c)「窒素ガス、毒素ガス又はこれらに類するガス及び細菌学的手段の戦争における使用を禁じた」1925年6月17日のジュネーヴ議定書
d)戦争犯罪の構成要件を決めるガイドラインを確立するためのニュルンベルク原則

43 上述の国際法の原則に従って、当法廷は、戦争犯罪の定義には5つの要件があることに注目する。第1の要件は故意の殺害である。第2の要件は、普通の民間人の殺害と民間人への攻撃である。第3の要件は、都市や町を故意に破壊することである。第4の要件は、不必要かつ過度の死をもたらす攻撃である。第5の要件は、無防備都市への攻撃である。当法廷は、広島と長崎への原爆投下が、戦争犯罪の要件をすべて満たしていると認める。

44 以上のことを考慮すると、当法廷は、広島と長崎への原爆投下が、民間人の大量殺害をもたらす、また軍事的必要だからとはいえ正当化されない、過度の死傷をもたらすもので、都市や村落の理不尽な破壊を禁じている原則に違反することを認める。よって「ニュルンベルク原則」第6原則 (b)項および「極東国際軍事裁判所憲章」第5条b 項に規定された戦争犯罪に相当する。

45 当法廷は、次に1963年の下田訴訟に関する東京地方裁判所の判決をとりあげる。
東京地方裁判所は、広島と長崎への原爆投下が違法であると明言し、この問題を扱った最初の公的判決となった。同判決によると「たとえその空爆の攻撃対象が軍事標的のみだとしても、広島と長崎両市への原子爆弾による空爆は、無防備都市への無差別な空襲であり、違法な戦闘行為であると解釈するのが適切である」。

46 したがって下田判決の観点から、当法廷は、広島と長崎への原爆投下は無防備都市への無差別爆撃であり、違法であるとみなす。

47 最後に 当法廷は、これまで言及してきた諸事実と適用可能な国際法にかかわる「共同謀議」の問題を扱う。当法廷は、国際法のもとでは、共同謀議とは、2人ないしそれ以上の人数の間で犯罪を犯す合議が成立していること、このような犯罪行為を段階を踏んで準備し段取りをしていくことだと認識している。例えば民間人への空爆や、生物化学兵器のような禁止兵器の使用、あるいは民間人の無差別殺害を、民間人および戦闘員に対する広範かつ組織的な攻撃の一部として計画することである。被告人らの行った合議や行動は、広島と長崎のすべての生命体を無差別に抹殺し、生き残った生存者に不必要な苦痛と苦悩をもたらした原爆投下を推進するもので、1944年12月以降、被告人らによって慎重に企てられた行為であったと、当法廷は認定する。被告人らは、投下目標を選定した時点では、原爆投下によって引き起こされる結果を十分に認識していたし、原爆投下を準備し手配をすすめた行為はすべて、共同謀議であると、当法廷はみなす。

48 上記のことから、当法廷は以下のとおり判断する。
http://www.k3.dion.ne.jp/~a-bomb/Judgment-J.pdf
Judgment-J.pdf (application/pdf オブジェクト)

以上の被告人(ハリー・S・トルーマン米大統領など)

は、戦争犯罪および人道に対する罪を犯す共同謀議について有罪である。
は、人道に対する罪について有罪である。
は、戦争犯罪について有罪であると結論する。

原爆投下は戦争犯罪なのか? それとも
原爆投下は戦争犯罪であるが、米国によるそれについては日本は大きな声で論じてはいけないのか?