松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

中国人強制連行・西松建設裁判

裁判支援のねばり強い活動を伝えるHP。
http://hb5.seikyou.ne.jp/home/ykkwhr/index.html
上記の最大の論点である、「日中共同声明で決着済み」などの点について第一五回口頭弁論で、 龍谷大学教授 田中宏さんが証言されています。

戦後処理について


 休憩後の尋問は、我々の最大の関心事である戦後処理問題に移った。中華民国(台湾)とは日台条約、人民共和国とは日中共同声明を結びどちらも賠償を放棄させた。西松の言う「共同声明で解決済み」は法的にはどうなのか。尋問と証言を再現するとこうなる。

日中共同声明ですべてカタがついたといえるのか。

 ――日中共同声明には「国及び国民」とは書いていない。民間人の賠償請求権はある。

清算の方法はどうするのか。

 ――統一ドイツがナチスの強制労働の被害者に対して、政府と企業が一〇〇億マルクの基金を創設した。今後このような方法が考えられてよい。

花岡事件の解決はどうしたのか。

 ――解決まで一〇数年かかったが、和解条項には、鹿島が出資して「花岡平和友好基金」を作り、原告が任命する運営委員会の設置を盛り込んだ。

全国の事件はすべてこの方法でよいと思うか。

 ――花岡事件では、原告一人一人に支払うのでなく、被害者九八六人に対する一括解決をめざした。基金は中国紅十字会に託して動かす。受け皿が要るが、よい方法だと思う。


 このように尋問は、西松の主張を完全に論破した上で、解決の筋道を人道主義の国際的流れの中で指し示し尋問は終了した。慣れた口調の山田弁護士の横顔、低い声で淡々と答える田中証人の背中、二人の姿が頼もしく大きく映ったのである。期せずして満員の傍聴席から拍手が起きた。
http://hb5.seikyou.ne.jp/home/ykkwhr/saiban18.htm
第一五回口頭弁論報告