支配を尊重しないすべ
力の支配を知り、しかもこれを尊重しないすべを知らないかぎりは、愛することも義しくあることも不可能である。
(シモーヌ・ヴェーユ p55『ギリシャの泉』)
支配を尊重するすべを知ることがすべての道徳の基礎である。したがってわたしたちは初期状態においては「これを尊重しないすべを知らない」。しかしそれではどうしようもないのだ。
私たちの社会において理不尽な「支配」は、“白を黒と言いくるめる、黒を白と言いくるめる”といった虚偽報道の洪水によってなされる。
例えば、1999年2月の広島県立世羅高校の石川校長の自殺。野田正彰によれば彼は、「身分差別につながるおそれもある『君が代』の歌詞と、これまで学校で取り組んできた同和教育との整合性がない」として「君が代」斉唱を拒んだのだ。しかし政府、文部省は「国旗国家法が定められていないから板挟みになった校長が死んだ」と偽って、石川校長の死を逆に利用していった。*1
「これを尊重しないすべを知らない」を転倒していくためにはわたしたちはどうしたらよいのか?
*1:p.v 野田正彰『子どもが見ている背中』isbn:400028692