松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

靖国参拝はアメリカの国益!

繰り返し申し上げるように、東京裁判を仕切ったのはアメリカである。
アメリカ人将兵29万人の死について有責であるとしてA級戦犯たちを告発したのはアメリカである。
そのアメリカがどうして同盟国の首相がそのA級戦犯たちを祀る靖国神社公式参拝することにきびしく抗議をしないのか、その理由は一つしかない。
アメリカが抗議しないのは、もし首相の靖国参拝国務省が正式に抗議して首相が靖国参拝を中止した場合、それがきっかけで日中日韓の歴史問題が「解決してしまう」かもしれないからである。
アメリカにとっては同盟国首相が東京裁判の判決を不服としているという心情的な不快と、東アジアに日中韓ブロックが形成されるという地政学的な損失を比較考量して、後者を優先したのである。
だから、アメリカは「アメリカについての記述」についてのみ限定的に削除を求め、中国についての記述は放置したのである。
遊就館歴史観そのものをアメリカが批判した場合には、中国についての記述も訂正を求めないと話の筋目が通らない。
だが、そんなことをしたら、せっかく形成された日中日韓の緊張関係が緩和してしまうかもしれない。
そんなことになっては1853年からの東アジア経営に注ぎ込んだ帝国主義的リソースの元が取れない。
だから、アメリカは区々たる文言だけにクレームをつけて、東京裁判を否定する遊就館の「歴史観」そのものは手つかずに置いているのである。
中韓にはどのような失礼を言っても許すが、アメリカにはふざけた口をきくなよと釘を刺したのである。 2006年10月06日
http://blog.tatsuru.com/archives/2006_10.php
内田樹の研究室 2006: 2006年10月 アーカイブ

 わたしは内田氏のファンではないが、この点については野原が前から強調している点と同じなので引用させていただく。