松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

日本国は積極的に国民を死に追いやった

 日本軍や日本政府は米軍の残虐性を強調するなどのプロパガンダで意図的に極限状態を作り出し、兵士には死ぬことを強制し、同じことを住民にも求めた。近代国家の軍隊としては考えられない日本軍の特異性だ。
 例えば、慶良間の戦闘でも普通の国の軍隊であれば、軍隊は足手まといになる住民を置いて山にたてこもるだろう。しかし住民が米軍に保護されることさえも認めない日本軍は、住民を殺されるか、餓死するしかないような、逃げ場のない状態に追い込んでいった。
 集団自決や住民虐殺は、南洋のサイパンテニアンでの戦闘から見られる。自国民でも投降しようとすると処刑したり、泣き声が聞こえるといって子供も殺したりした。そのようなことが日本軍が住民をかかえて戦ったところではあちこちで起きた。日本軍がいた場所では、どこでも同じ状況にあったことを示している。
 また、沖縄戦では、中国から移動してきた兵士が、中国の人々に対しておこなった残虐な行為を自慢げに話していた。沖縄の住民にとっては、「鬼畜米英」の捕虜になれば必ずひどい目にあう、という意識が刷り込まれていた。皇民化教育にくわえて、捕まるとひどい目にあうという、教育と脅迫の両方が行われていた。集団自決が起きた理由は、戦争だからという一般論では説明できない。以上のような日本軍と当時の日本社会によって作り出された特異な状況が生み出したと見るべきだろう。                     2006.8.17記
http://www32.ocn.ne.jp/~modernh/

http://d.hatena.ne.jp/noharra/20060905#p2 のような極限的な話しばかり読まされても、いちおう平和に生きてきた戦後の日本人にとっては常識のレンジを振り切っているので、どう考えて良いか分からないという感想を持ちがちだ。
ずっとこの問題を研究しておられる林博史さんは上記のように語っている。
結局のところ、
「日本国は積極的に国民を死に追いやった」と言える。