松下昇への接近

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政府開発援助(ODA)による武器供与に反対する!

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「政府開発援助(ODA)による武器供与に対する申し入れ」

2006年6月13日

内閣総理大臣 小泉純一郎 殿
外務大臣 麻生太郎 殿

 日本政府はインドネシア政府に対して「マラッカ海峡のテロ・海賊対
策のため」に巡視船艇3隻を、ODAによって無償供与することを決定す
る、という報道がありました(読売新聞・北海道新聞 2006年6月2日)。
私たちは、以下の理由から、この決定は不適切な政策判断であると考え、
計画の即時撤回を求めます。

1.「武器輸出三原則」をふみにじるものである。
政府自身が、巡視船艇は武器であることを認めているように、今回の決
定は明らかに海外への武器輸出です。確かに、政府は、2004年に米国ミ
サイル防衛に関する技術協力で例外とする旨を新防衛大綱の発表に合わ
せた官房長官談話で、「テロ・海賊対策への支援」に関して、「今後、
国際紛争等の助長を回避するという平和国家としての基本理念に照らし、
個別の案件ごとに検討の上、結論を得る」という表現を盛り込み例外扱
いの可能性を示唆していましたが、今回の件では、「例外」とするに当
たってのきちんとした説明がありません。また、「武器輸出三原則」は、
「戦力を保持しない」ことを定めた日本国憲法の根幹であり、いわば
「日本の良識」であり、武器輸出の例外は歯止めがきかなくなる恐れが
あり、基本的にすべきでないものと私たちは考えます。

2.「ODA大綱」の原則を無視する決定である。
ODA大綱には、ODAを軍事的用途に使わないことが明記されています。ま
た、衆議院外務委員会(1978年)と参議院外務委員会(1981年)でも決
議され、その原則が確認されています。日本国憲法が求める「平和共存」
のためにODAを使うのであって、「軍事的用途に使わない」という原則
は、私たち日本に暮らす者が心から受け入れ、ごく当たり前の考えとなっ
た日本の「平和貢献のあり方」です。2003年に改訂された新・ODA大綱
では、「平和構築」や「テロへの対応」などの文言が入りましたが、
「テロへの対応」であればどのような支援もODAとして許されるという
ことではありません。ODA大綱の四原則にてらして、文民機関に供与さ
れるものであったとしても、それが実質的に「軍」を助けることになっ
たり、紛争を助長する恐れがないか慎重な判断が求められます。きちん
とした説明責任とモニタリング体制の確証がない限り、ODAによる武器
供与は「ODA大綱」を無視する決定です。また、当然ですが、社会環境
配慮ガイドラインなどをきちんと適用して、巡視船供与がどのような影
響をもたらすかしっかりと事前にチェックされなければならないことは
言うまでもありません。

3.ODAによる軍事援助・軍事化を加速させる。
「治安対策」という名目で、また使用目的を限定したとしても、「武器
供与」は公権力の強化を明確に意図したものです。しかし、いくつかの
ドナー国は、「治安対策」のためには、公権力の強化よりも、市民社会
の強化を通じたガバナンス、公権力の乱用に対するチェックといった民
主主義支援の観点から市民社会の支援を重視しています。また、真の
「治安対策」のためには、公的機関への機材供与だけでは意味をなさず、
技術協力などを通じた司法分野の改革、市民社会による監視機関の整備
などが伴わなければ国家暴力の温床となってしまうことは、多くのドナー
が認めていることです。これまで日本のODAは、警察活動支援であって
も、人権配慮の観点から、一定の歯止めをかけていました。ODAの供与
には、明確な理念と原則がなければなりません。それをなし崩しにする
ような決定は、適切な政策判断とは思えません。今後、今回の決定を機
に、理念が原則もないがしろにして、「テロとの闘い」を名目で、直接
的武器援助のためにODAが使われるようになっていくことを強く懸念し
ます。

4.DACODA定義に反し、貧困問題の解決に寄与しない
国際的に見ても、今回の決定は「開発途上国の経済開発や福祉の向上に
寄与することを主たるもの」をODAとするという、開発援助委員会(DAC
の定義に反するものです。ODAは貧困問題の解決などに使われるべきも
のであるというのが、援助国の共通認識です。ましてや、ますます貧富
の格差が開き、温暖化など環境破壊が進み、感染症の防止対策も十分で
ない現代において、今回のような決定は、日本がこうした問題に対して
真剣に取り組もうとしていないという誤ったメッセージを国内外に送る
ことになります。今、国際社会が協調して、真に貧困問題の解決に取り
組むべき時であるにもかかわらず、こうしたODA本来の目的と相容れな
いものに使う途を開くことは、世界第二位の援助国である日本が取るべ
きリーダーシップの形ではありません。

以上の理由から、私たちは、日本が武器援助を行い、ODAをそのために
使うことに強く反対し、計画の即時撤回を求めます。


呼びかけ団体:
アジア女性資料センター
アジア太平洋資料センター
インドネシア民主化支援ネットワーク
ODA改革ネットワーク
関西NGO協議会
債務と貧困を考えるジュビリー九州
さっぽろ自由学校「遊」
名古屋NGOセンター
日本国際ボランティアセンター
ピースボート
ピープルズ・プラン研究所

Subject:[AML 7572] 【急ぎ・賛同呼びかけ】「政府開発援助(ODA)による武
器供与に対する申し入れ
Date:Tue, 13 Jun 2006 11:20:48 +0900
より間接的にコピペ。