松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

負け組の自己肯定

で、早川いくをの『へんないきものisbn:4901784501。表紙をよくみると「へんな」の「ん」の字にスペード形のあたまのみみずのようなもの、そうまさしくコウガイビルがからまっているじゃないか。
でその頁p38は、

 雨上がりの夜道にヒモが落ちている。気にも留めずに行きすぎようとするが、ふと見るとそのヒモはうねうねと動いている。

ではじまり、次のように終わる。

弱いようでいて、実は人間のヒモと同じくしたたかに生きているのだ。

コウガイビルは扁形動物である。口だけで肛門もないという非常に下等な生物である。そんなものが自身からするとずっと高等な生物であるミミズやナメクジを食べてしまう。それで何億年も生き延びてきたのだ。生物の多様性は奥が深い。