松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

我思ふゆゑに汝も在りなむ

わがゆめの 髪むすぼほれほうほうと いくさのはてに 風売る老婆

よしさらば ひかりに堪えて ながらふるもみじと髪と とおき誓約(うけひ)と

春がすみ混沌の世にたなびきて我思ふゆゑに汝も在りなむ

雨師(うし)として祀り棄てなむ葬り日のすめらみことに氷雨降りたり

青人草(あおひとぐさ)あまた殺してしづまりし天皇制の終わりを視なむ
          山中智恵子