松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

この学は己の為にす。

「この学は己の為にす。」という言葉を佐藤一斎は残している。
「学問とは人に誇示する嫁衣装の如きものではなく、自己一身の聖化のためにこそなされるべき」*1である、という趣旨である。(宮城公子氏による)
己とは何か? 
私たちがただの俗人である限り理解し得ない「天人合一思想」といったものをそれは指している。

天地間に己一人と思う心と、万物一体の心と、相反する如くにして其心一なり、外に人なきときは内に己なし。天地一大虚のみ。人我皆空なり。(山田方谷*2

こういった雰囲気。
明治維新の時代のインテリの多くはこのような思想をそのベースにしていたらしい。

*1:p30『幕末期の思想と習俗』

*2:p125同上