松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

<皇祖皇宗>の効力

kuronekobousyuさんからいただいたコメントのうち次の部分について。

天皇制」という言葉はもともと左翼が定義したものですがそれを保守派も現在は遣っているが、それはどうでもいいとして「千年以上続いた天皇制を守りたい、のではないのですか?」という問いは(誰に対するのか?)アイロニカルな物言いですよね? 念のため確認しておきましょう。

たしかに分かりにくい表現になっているので補足します。

「千年以上続いた天皇制を守りたい、のではないのですか?」という問いは右翼に対するものです。
(1)
憲法1条などの削除=天皇憲法で規定することの否定、ですね。
歴史時間で考えると、
天皇憲法で規定すること=明治憲法の期間(B)+戦後憲法の期間(C)
したがってその否定は=江戸時代以前的なもの(A)+未来的なもの(D) になります。
わたしの理解では、天皇制の根幹は<皇祖皇宗>という目に見えないものにあります。それが社会的に価値があるのなら、憲法から外してもそれは効力を発揮し続けるでしょう。
というかまずわたしたちの天皇は敗戦の禊ぎを済ましておらず、憲法から退くことによってその禊ぎを済ますべきなのです。話はそれからでしょう。
(2)
一方、戦前と戦後がきびしく対立しているという発想もあります。いわゆる右翼と左翼のひとはここに含まれます。
右翼というものは「千年以上(二千年以上?)続いた天皇制」を主張しながら、その千年以上に比べたらごく短い期間である明治憲法期にそれを代表させてしまうことに何の疑いも持っていないように思える。
「千年以上」続いた価値を真に考えるならば、「<皇祖皇宗>という目に見えないものが、憲法から外しても効力を発揮し続ける」という発想をとってはいけない理由はない、と思われます。
(3)
次に左翼のひと。
60年以上憲法1条を放置し、なおも護憲とかしかいわないで、なお天皇はただの羽根飾りのようなものと言い続けるのはおかしいでしょう。
人民主権なら天皇はいらない、と主張していくべきです。
黒猫さんはそういう立場だと了解しています。
(4)
アイロニカルな物言いをしているつもりはないのです。*1<皇祖皇宗>を信じているわけではないが、信じたいという気持ちもある。半分くらいかな。
<皇祖皇宗>は儒学の<理><天><民>にちょっと色を塗っただけのものですから基本的に国境は越えられると考えています。

*1:脱構築」の試みである、と主張します。