2005-07-26 サイパン島の崖の上から 崖 石垣りん戦争の終り、 サイパン島の崖の上から 次々に身を投げた女たち。美徳やら義理やら体裁やら 何やら。 火やら男だのに追いつめられて。とばなければならないからとびこんだ。 ゆき場のないゆき場所。 (崖はいつも女をまっさかさまにする)それがねえ まだ一人も海にとどかないのだ。 十五年もたつというのに どうしたんだろう。 あの、 女。(「表札など」『石垣りん詩集』ハルキ文庫p89)