松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

現在のイラクへの出兵問題について

1)アメリカのイラク出兵に大義が在ったかどうか?という論点はしばらく置く。
これは(70年ほど前の)日本の満州進出(侵略)が悪だったということを全面的には前提にしない、ということとパラレルである。(野原は悪だったと認めている、と言っても良いのだがあえて言わないでおく。)
2)現在強調すべきは、次の点である。

  1. 米軍はナツメヤシの破壊を行っている。
  2. 住宅地を空爆するという作戦を行っている。

http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/892243/83C838983N-120-124.html
米軍が「アイアン・ハンマー」(鉄つい)と呼ぶ新たな掃討作戦は、11月になって始まった。航空戦力の使用には、低空飛行しながら集中砲火を浴びせるAC130、戦車の装甲も貫く機関砲などを搭載したA10攻撃機、最大1トンにもなる大型爆弾、精密誘導ミサイルなどが含まれる。また、抵抗勢力が潜む家屋を確認すると、本人らを殺害・拘束するほか、住人家族を追い出したうえで建物を破壊している。ポスト紙が自宅を失った人物の怒りの声を伝えながら「イスラエル軍と似ている」と指摘するのは、こうした強引な手法だ。
  3.今回の戦争で劣化ウラン弾を使用した。
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/892243/83C838983N814097f289bb83E83898393-0-8.html
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/892243/83C838983N814097f289bb83E83898393-0-7.html
3)以上の三点により現在の米軍の粗暴な態度がイラク人の反感を買っていることは明らかである。日本政府はこの三点についてUSA当局に強く申し入れ納得のいく回答がない限り出兵すべきでない。
12/6の毎日新聞酒井啓子さんの記事でも、スンニトライアングルに対する米軍の攻撃がイラク人の反占領感情を高めている。掃討作戦の過程で行われる米軍のイラク人に対する粗暴かつ強引な捜査、拘禁が反発を生む。生活基盤が回復しないことへの不満。などを挙げて、米軍の同種と見なされる以上、自衛隊イラク人の反発の対象になり現地の治安を悪化させる効果さえ生む。と論じている。さらに、社会不安の原因である失業問題克服のためには雇用を創出しなければならないが、アメリカは民主化の名の下に経済自由化を急ぎ逆に失業を増大させている。と書いている。ただ自衛隊派遣しないだけでは事態の改善は望めない。積極的に米軍の統治政策の失敗を正すべきだ、と。酒井さんはサイードなどとは自ら一線を画す慎重な学者です。その彼女がここまで断言するほど米軍による統治はひどいということなのだろう。自分の身勝手な価値観を押しつけることを普遍性であるかのように勘違いする事に慣れ「歓迎されるはずだった」という思いを棄てきれないまま占領を始めてしまった。かって中国大陸における日本軍もそうだったのだろうか。「テロ」という言葉を使うことを躊躇しない人たちは、かって日本軍に対する攻撃はすべて「匪賊」によって行われていたのだということを思い出してほしい。