松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

14歳 楳図かずお

野原が最も尊敬し好きなマンガ家は大島弓子である。自分のモチーフ追求を軸にマンガを強引に作り上げる観念的なマンガ家であるという点で、楳図は大島と共通点を持つかもしれない。ただわたしは楳図のよい読者ではない。機会があって(自腹を切らず)『わたしは真吾』と『漂流教室』を読んだくらい、だ。楳図は有名な割にあまり読まれていない(たぶん)。小学校4年の息子が楳図に興味を示したので、(悪趣味だから子供に買ってやるのはどうかと人並みなことも思わないではなかったが)近くのリサイクル古本屋に一冊350円で1〜4が並んでいたので買って、息子に与えた。先に息子に与えるのはけっこう危険である。とまあそんなことはどうでも良い。
テキスト主義者ならテキスト(マンガ)に即して語らんかい!はい。(1と2を読んだだけで、これは20冊もあるのでそろえるかどうかも未定だが)(ところでチキンジョージを“ぐぐって”みたらライブハウスばかりだった)えーこの作品はチキン・ジョージというモンスターの誕生から始まる。チキンジョージとは鶏肉自動作成工場の偶然のミスから生まれた生物が(ご都合主義で)高度の知能を持ったモンスター。彼は孤独感を理屈で根拠を捏造することで埋めようとし、現代文明(未来文明)が数千数万種の動物たちを滅亡させたことへの復讐を自分の使命と考える。息子には粗筋ではなく感想を書けと高圧的に命令したくせに自分でも粗筋しか書けない。反省。言うまでもなくわたしたちは牛や豚を食べているが、彼らは近くでゆっくり見ると大きいだけあって威厳と存在感に溢れている、ここには大きな矛盾があるが皆が知らん振りをしている。こうした誰でも知っているタブーを主題にする蛮勇こそが、名作を産みだす条件だ。(続きを読まないと分からない。)