松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

天安門事件の死者の記憶を留めようとする者

緊急集会  「天安門事件08憲章を考える」

 

  □日時 2010年1月23日(土) 13:00〜17:30
  □会場 早稲田大学11号館6階604教室
  □講演
     開会の挨拶として─民の自立について         高橋順一
     劉暁波とはだれか                      劉燕子
     08憲章と中国知識人                    及川淳子
     中国の民主化なくして日本の民主主義はない     子安宣邦
  □質疑 
  □会費 500円
                                       主催 昭和イデオロギー研究会

 「絶望のなかで、ぼくに与えられた唯一の希望は、霊魂を記憶に刻むことだ。」と書いた詩人劉暁波に中国の裁判所は11年の刑を言い渡しました。なぜか。彼が天安門事件の死者の記憶を記憶を心に留めようとする者であり、その死者の声を08憲章の希望の声に結ぼうとする者だからです。彼の声が封じられるのなら、代わりにわれわれがいわなければならない。なぜ日本人であるお前がいうのかと問うなら、なぜあなたはこの事態に黙るのかと問い返したい。耳を閉ざし、目を覆うことなく、劉暁波をめぐる事態を知っていただきたい。

 日本思想史の子安宣邦氏から年賀状をいただいた。*1
その全文を掲げる。あまりにストレートな文面なのでびっくりしたのだ。日本思想史の権威であり、また多くの著書が中国語に訳され日中の文化交流のエースの一人でもある、高齢でいらっしゃるところの子安先生は、低い声ではあるがここで明らかに叫んでいる。


叫び。それは応えを得られず中空に消えていくものであろう。しかしその記憶は消えることなく、消え去ったかに思われるときふと力を及ぼすであろう。


わたしも何度も劉暁波に言及してきた。最初は誰かまったく知らずついでにコピペしてしまった人名としてこのブログに登場したのだが。
11月末に、「現代中国知識人批判」という本を図書館で借り、急進的批判の鋭さにタジタジとなりながらある魅力を感じた。

分かり切ったことしか書いてない本のようにも見える。しかし、この本が持っている全存在を賭けた批判、それが持つ熱気というのは私にある衝撃を与えた。それを迎え撃つために私は竹内好を買いに走りまた屈原の本をひもといた。
http://d.hatena.ne.jp/noharra/20091204#p1

竹内好やまして二千年以上前に死んでしまっている屈原など、現在の政治状況と何の関係もない。それでもそうした連想において、劉暁波はわたしのなかに価値として存在している。*2

*1:私は子安先生に大阪の懐徳堂研究会という市民講座でお世話になっている。

*2:それがどうした?