松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

「何の強制力もありません」

 文部科学省は「心のノート」を「道徳教育の充実に資する補助教材である」と位置づけています。このことは文部科学省の依頼文、通知文に書かれています。そして、配布当初は当局はこのノートを、世論とくに教育関係者からの批判、疑義を気にして、「各学校において有効かつ適切に活用されることを期待します」、「何の強制力もありません」ということも言っています。
http://osaka.cool.ne.jp/kohoken/lib/khk210a1.htm#%E4%BE%9D%E9%A0%BC

 「何の強制力もない」ものを何億円も使って作成配布する権利が、文部科学省にあるのか? ないだろう。

教師が補助教材を使用するのは自由であり、何が「有益適切」であるかの判断は学校・教師(集団)に委ねられているというのが原則である (同上)

助教材選択する権利は学校・教師(集団)に委ねられているのであり、文部科学省はその自由に規制を加えるべきではない。


「心のノート」の法的根拠はどこにあるのか、というと、「文部科学省設置法4条11号」つまり、文部科学省の所掌事務として挙げられている「教科用図書その他教授上用いられる図書の発行・・・に関すること」が示されるそうだ。しかしそれは論理のすり替えだろう。教科書自体すら国家直営で編集発行していない。心のノートを教科書より大事な物と位置付ける別の法律を成立させない限り、文部科学省に金を使う権利はない。
(10/24記)