松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

「外泊 予告編」(金 美禮監督)が良かった

http://www.m-shonan.jp/~ivf/
上記の映画会いってきました。これは、MDS(民主主義的社会主義運動http://www.mdsweb.jp/系の 各種団体の集まりだったようだ。
その範囲を越えた文化運動を作っていこうとするものでもなさそうだ。


会場は各種ブース(コーヒー、パン、エスニック雑貨)がたくさん並び雑然とした感じ。文化祭か地域のお祭りのような雰囲気。参加者は女性が多く若者もかなりいるのが左翼の集会としてはめずらしい。参加者同士は顔見知りが多いみたいでなごやかな感じ。*1
この集まりの中心は、3分間公募作品を17本の上映することでそのうち11本をみた。大昔に鈴木志郎康がやってたやつ*2の左翼版かなみたいな期待でいったのだがそれはハズレ。主題がはっきりしている以外は作品としては素人のホームビデオ水準。選抜もされていないようだ。でもまあ3分に凝縮しているので見ていてまあ面白い。綿井健陽氏の真剣なコメントも良かった。
招待作品は3つ見た。「外泊 予告編」(金 美禮監督)がよかった。

スーパーマーケット・チェーン「ホームエバー」による卑劣な契約打ち切りと非人道的な差別に抗し、500名の女性労働者が長い間、店のレジ・カウンターを占拠して闘う姿を追ったドキュメンタリー映画の予告編。彼女たちの「外泊」は非正規雇用労働者保護法の施行前日から始まった…。

スーパーマッケットの狭く区切られた床が横たわって寝ている女性たちに埋めつくされている冒頭のシーンはちょっとびっくりする。ストライキの戦術として泊まり込みを選択するのだが主婦である彼女たちは帰宅後家族の世話などしなければいけないことが沢山あるので負担は並大抵ではない。しかしやってみてなれない労働歌を歌う練習など皆でしてみるとこれがとても楽しいことに気づく。家事からの開放〜女同士の連帯〜非日常を自分たちが支配していることの喜び。〈ストライキ〉の原初的楽しさをみごとに定着させることに成功している。*3
終わりに不退去で寝転んでいる女性労働者を排除しに機動隊がどどっとやってくる。彼女たちはただ寝転んでいるだけなので手足をばたばたさせ抵抗してもほどなく数人の警官に身を起こされ運ばれていってしまう。ここで韓国がさすが「文明国」だなと思ったのは、実際に女性労働者の身体に手を掛け強制するのはすべて女性の警官であること。セクハラといわれるのを警戒しすべて女性をそろえているのだ。日本だとストライキ側は圧倒的に少数派になり世論を気にする必要もないのでそこまで気を使うこともないだろうなと思った。
というように、短いけどなかなか良かったです。
「アーロン・ヒューズが語る〜再びイラクの地を踏んで〜(24分)−アメリカ」は、反戦イラク帰還兵の映画。これも良かった。日本人でも60年ほど経ってから中国に行き皇軍被害者に謝罪した元兵士が数人はいるが、それとあわせて考えることができる。イラク帰還兵に対する処遇はひどいみたいだな。

*1:わたしの知合いは一人もいなかった。

*2:今でも彼らはそうしたことはやっているでしょうが

*3:国内での大きな反響にもかかわらず闘争はひとまず敗北する。20分しかないので闘争経過や周辺の事情は良く分からないがそれは別の話。