松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

未知のもの、神秘的なものを、結合によって対数化する

 昨日は、図書館に行って、今泉文子「ロマン主義の誕生」とついでに南剛という人の「意志のかたち、希望のありか」と言う本を借りた。で本屋で、ノヴァーリスの作品集を探すと、ちゃんと1、2、3揃っていた! 目次を見るとフラグメンテに相当する「断章」というのが、1と3両方にあるのだ。2冊も買うつもりはないので1だけ購入。(ところでふと読み始めたロレンス・ダレルの「ジュスティーヌ」を読んでしまわないといけない。)南剛さんの本はノヴァーリス「モノローグ」「ザイスの弟子たち」の言語論という章があったので借りてみた。

哲学しようという決意は、奴隷解放の行為でありーーわれわれ自身に向けた攻撃となる。
p195 ノヴァーリス全集1

不確定な予断からの波紋、という文章がノヴァーリスとフラグメンテという二つの名詞から始まっているので何も知らないのもまずいと思って借りてきたのだ。松下がノヴァーリスベンヤミンに言及したのは聞いたことがない。・・・

ありきたりのものに高い意味を、普通のものに神秘に満ちた外観を、既知のものには未知のものの尊厳を、有限のものには無限の仮象を与えること。逆に、いちだん高いもの、未知のもの、神秘的なもの、無限のものをあつかう場合は、結合によって対数化する。するとそれは、なじみの表現を獲得する。(F・シュレーゲル)
p180 「ロマン主義の誕生」isbn:4582841937

普通のものと未知のものとの交換、というのは、「ハンガリー革命と六甲」をはじめとする松下のテーマでもあった。シュレーゲルはここで「対数化」という数学の方法をそれであるとはっきり名指しており、松下以上に(数学的比喩が好きだった)松下的ともいえる!