松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

細乳(ほそぢ)の女

乳母(めのと)せんとて、まうで來りける女の、乳の細く侍りければ、詠み侍りける
『果(はか)なくも 思ひけるかな 乳(ち)もなくて 博士の家の 乳母せむとは』
『さもあらばあれ 大和心し賢くば 細乳(ほそぢ)に附けて あらすばかりぞ』
匡衡の妻、赤染衛門のところへ乳母としてやってくる女は、乳があまり出なかった。それをからかうように、匡衡は妻へ歌を送った。
『馬鹿なことだなぁ、乳が出ないのに(知識もないのに)、博士の家の乳母にしようとするのか』
 これに、赤染衛門が歌を返す。
『それがどうしたのよ。大和心さえ賢ければ、乳が出ようが出まいが、なんの困ることもない』
http://daioh.iza.ne.jp/blog/entry/97500/ 大和心-我々は何者か:イザ!

理屈が通ろうが通らまいが、乳が出るとか出ないとかいう事について男性が発言することに赤染衛門は反発しているように読める。赤染衛門も柳沢発言は許さない!?

赤染衛門:生年は天徳四年(960)以前、没年は長久二年(1041)以後かという(『赤染衛門集全釈』解説による)。大江匡衡(まさひら)の妻。
中納言匡房は曾孫。http://d.hatena.ne.jp/noharra/20070120#p1