松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

論点1.「米軍を攻撃するイラク人をテロリストか?」

http://d.hatena.ne.jp/noharra/11001004#trr1
野原(もう一度)です。

>>>(井上)さらにいえば、武装勢力とかテロリストとか、言い方はいろいろありますが、この手の反米武装闘争を目的とする組織が、イラクから米軍が撤退しただけで「ハイそうですか」と闘争を止めるでしょうか ? 私はそうは思いませんが。

(「イラクでの騒擾が「反米闘争」でなければ、「レジスタンス」という言葉を使っている野原氏の主張が成立しない点に注意)

そして、テロ組織が活動するために必要な三大要素「庇護者」「スポンサー」「聖域」のうち、「聖域」としてイラクを利用する可能性は大いにあります。なぜなら、テロリストにとって最良の聖域とは、政府がまともに治安維持機能を発揮できない「失敗国家」であって、宗派間対立でグタグダになっているイラクには、そうなる資格が十分にあるからです。そして、「庇護者」「スポンサー」についても、同じ「反米」という旗印を掲げるイランが加わらないという保証はないですから。<<<

井上氏は米軍を攻撃するイラク人をテロリストと呼ぶのか、呼ばないのか、はっきりしてほしい。

“米軍が統治に失敗したままイラクに居座り続ける権利”を明示できない井上氏は、米軍を攻撃するイラク人をテロリストと呼ぶ権利もないはずだ。

井上氏はごまかす。「武装勢力とかテロリストとか、言い方はいろいろありますが、」

「この手の反米武装闘争を目的とする組織」いきなり差別意識丸出しの用語法。米軍の占領という状況の有無にかかわらず「この手の反米武装闘争を目的とする組織」は反米武装闘争を目的とする。

「米軍が撤退しただけで闘争を止めるでしょうか ? 私はそうは思いませんが。」それは「この手の反米武装闘争を目的とする組織」というカテゴリーを必要とする井上氏の脳内事情によることは明白だ。

テロとの戦い」の為には占領が必要である。え、「テロの蔓延」のためには、占領すなわち「失敗国家」が必要である、の間違いじゃないの?

Posted by: 野原燐 | Dec 31, 2006 9:24:48 AM

これに対する井上氏の答え。

国連安保理決議 1511 号を 100 万回読み返してください、と以前に書きましたが、お忘れですか ? 明示云々については、それで FA です。それに、決議 1511 には「失敗したら出ていけ」なんて記述はなかったかと思いますが、ちゃんと 100 万回読み返しましたか ?

それから、「言い返すことができない相手をテロリストと呼んではならない」という野原氏の脳内定義については、私は一切認めませんから、そのつもりで。第一、「テロリスト」という言葉の定義と米軍の駐留根拠は別問題です。もしも野原氏が、米軍に対する攻撃を「きれいな戦い」だとお考えなら、噛みつきたくなるのかも知れませんけれどねぇ。

 井上氏は米軍を攻撃するイラク人をテロリストと呼ぶ、とははっきり言わない。

11.米軍存在の一縷の根拠

決議1483(2003)に定められた適用可能な国際法による暫定占領当局(以下「当局」とする)の特定的な責任、権限および義務の履行は一時的なものであり、 http://www.unic.or.jp/new/pr03-116.htm

 井上氏は国連決議1511により、暫定占領当局にはプレゼンスの権利があると主張しているようだ。*1
「 イラクの主権はイラク国家にあることを強調し、イラク国民が自らの政治的将来を自由に決定し、その天然資源を管理する権利を再確認し、イラク国民による自治が実現する日が早急に訪れなければならないという」至上目的を掲げている。
暫定占領当局がその達成に失敗したのは明らかである。失敗の原因の一つには、暫定占領当局がイラク人の幸福を目的として行為してこなかった点にある。米軍はまずアメリカの国益の為に存在するのだからそれも当然だが。
イラク人の幸福を至上目的とするという建前(立場)からは、もはや米軍があり続けることは支持されえない。
(2/11記)

*1:それにしても「百万回読め」とは? 自らできないことを人に要求するのは何故だろう。