松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

占領は終了することになっていた。

帝国ノートのラフール・マハジャンが指摘したように、この条項は、2003年9月に採択された唯一の専攻決議である国連安保理決議第1511号の中心にある決定事項をひっくり返すものである。第1511号決議では、任務の自動的な終了が決められていた。該当部分は、次のようになっている。

15.安全保障理事会は、第13項で述べた多国籍軍の要件と職務を決議採択日から1年以内に検討し、また、上記第4から7項および第10項で記述された政治プロセスが完了したときにはいずれにせよ部隊の任務は終了するものと決定する。また、その際、国際的に認められたイラクの代表政府の見解を考慮して、多国籍軍の継続がその後も必要であるかどうかについて、その際検討する。

つまり、占領の任務は遅くとも「政治プロセスが完了」したときに終了することになっているのである。そして、政治プロセスの官僚は、基本的に、憲法会議と民主選挙により定められる。

安保理決議第1511号では、占領は、国連安保理が積極的に占領継続を承認しない限り、終了することになっていた。
http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/places/iraq0405c.html
イラク国連安保理決議案

安保理決議第1511号
http://www.unic.or.jp/new/pr03-116.htm
の思想は、残念ながら野原より、井上氏の思想に近いものだ。

イラク情勢は改善しているものの、依然として国際の平和と安全に対する脅威であると判定し、
2003年10月16日

「国際社会」が「イラク」を「国際の平和と安全に対する脅威であると」判断している。

であるとしても、上記のようには言える。また、
以後3年間の占領体制の継続は

イラク情勢は改善しているものの、

とする条件節の否定をもたらした。
したがって問題を解決しようと思うなら、
占領体制の継続がなぜ今まで、「イラク情勢の改善」をもたらすことが出来なかったのか?を真剣に問うことなしに、情況の改善は図り得ないのは自明である。しかるにそのような真剣さは存在せず、その逆の暴力による解決(ファルージャなど)が継続し事態はますます悪くなっていった。
このような「イラク情勢は改善??」に照らしてみると、安保理決議第1511号によって、現在米軍による占領を肯定できるとは、いえない。と考える。