松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

大野さんへ・3http://www.absoluteweb.jp/ohno/?date=20060126#c21

http://www.absoluteweb.jp/ohno/?date=20060126#c23
 Ohno blog(2006-01-26)コメント欄での大野さん発言への応答。(そちらへも書き込みました。

というわけでやっと次に、- 大野さん (2006-02-03 21:32)および- 大野さん (2006-02-05 00:33) への応答に入ります。

ただ、わたしが丁寧すぎるほど丁寧に説明した「「敵を創造し、故意的にアジるもしくは論理的矛盾及び弱点を批判するという形式」を取らないで、どのような抵抗あるいは抗議ができるのか?」という点については明確な回答はありませんでした。しかしおそらく、大野さんはフェミニズムは抗議の思想であり「敵を創造しアジる」云々ということはありうべきことだと思っておられるようだ。私が聞きたかったことはそこなので、根本では食い違いがない、と感じることができた。
以下いくつかの点について書いてみます。

(3)しかしnoharraさんは、閲覧者さんの言葉を今回の件についてのコメントと看做して読解されていますので、批判が的を外しているように思われます。

...かなり無理をしないとそうした読み方はできない。「「石原慎太郎氏の政治的手段と上野先生の手段は同じ形式」というフレーズが出てくるのは、「わたしのところにこの件に関するメーリングリストが届きました。この件に関するわたしの思いは、大野さまのプログとほぼ同意見でありながらも、署名することはできませんでした。」という文の直後である。つまり「仮想敵を創造し」云々という形式をもつ呼びかけだから、呼びかけには応えなかったと明確に述べている。この点で誤読の余地はない。彼/女の本心がどうだったのかについてはわたしは議論するつもりはない。むしろ、彼/女があることを語ろうとして発した言説(packet〔ネットワークを流れるデータの単位〕みたいな感じ)が彼/女の本心とはむしろ乖離して、あらゆる抗議の不毛性を確認してしまうものになっていることを問題にしているのです。
...したがって、下記の大野さんの発言は的はずれです。

(3−2)閲覧者さんの言葉を「社会に存在する様々な抵抗運動が言説を獲得すること自体に敵対している」と決めつけるのは、閲覧者さんが明らかにフェミニストであることを無視した発言です。

(3−3)そもそも二項対立でなかったら、なぜ「全体主義」にならねばならないのかわかりません。一項対複数項、二項対立対一項などいろいろあるはずです。

...「敵を創造し、故意的にアジる」抗議一般を否定してしまっては、抗議ができない社会になってしまうと言っているだけです。

(4)これまでの石原言説と上野言説には、(思想的にはまったく異なるものの)「形式」として相同性があるという指摘だと思います。

...これまでの上野言説とは一体何を指しているのか、というよりも上野言説なり思想をあげつらう必要のある場面なのでしょうか? 「上野千鶴子の講師依頼を拒否」問題について、普段の思想が悪いからだ、というのは普段の行いが悪いからだというのと何処が違うのでしょう。

(5) 閲覧者さんのコメントの論点は、今回の件が「単純な二項対立」を作り出し、それによってフェミニズムがいつまでも上野千鶴子に代表され(ているように一般には映り)、その見飽きた構図にみんながうんざりする、こういうのは何とかならないものか‥‥ということではないかと思います。

...「今回の件が「単純な二項対立」を作り出した」のかどうか?が論点ですね。
...少なくともtummygirlさん,noharra,discourさん,鈴木薫さんたちにtnさんが絡んで繰り広げられたものは「単純な二項対立」の正反対の混乱に近い物だったんですがね。またフェミたちが内紛して云々というのはそれを回収する事後の言説にすぎません。

...http://d.hatena.ne.jp/noharra/20060203#p3「以下は」について。フェミ業界云々は、大野ブログコメント欄での議論の批判または揶揄したものではありません。「根津公子はパレスチナ人なのか?」というトンチンカンなタイトルを持つ文章と閲覧者さん批判が、私のなかでは深いつながりを持っていることを、書き留めておきたかっただけです。

(6)上野先生が女性の意見の代表/表象するということになります。(閲覧者)

...代表/表象批判というテーマを真面目に考えた発言とは思えません。別の所でも書いたように、「表象=代行批判」とは「批判して何もしない」ことを意味するのではなく、「被支援者−支援者」の落差を自らが当事者に成ることにより乗り越えることであるべきだ。という理路をどこまでふまえて発言しているのか。今回の事件において、上野は女性の意見の代表でもなんでもなく、女性の立場に立った場合不可避的に訪れるテーマを面倒でも引き受けることにしただけでしょう。
...代表/表象批判については、谷川雁から全共闘を通って上野千鶴子へという構図を描くこともできます。女性学年報を創刊したとき上野が「私は誰も代表しない」云々といった台詞を書き付けたことを記憶している人も多いでしょう。

「(4)これまでの石原言説と上野言説には、(思想的にはまったく異なるものの)「形式」として相同性がある」
...結局のところ上記が私には何を言っているのか分かりません。「ファルス」という難解な魔法言葉に自分でだまされているだけではないのですか。しかしながら、上野がファルスなのは、フェミ業界の人にとってだけですから!残念!

以上、長くなっってしまいました。やはり攻撃的に書いてしまいました。すみません。
大野さま、閲覧者さま、他のみなさま へ。(野原燐)
2月5日20.28