松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

私はたたかいます。

(略)当時の佐々木の心境を最もよく代弁する宮沢賢治の二つの文についてであった。
最初のは、明日の山烏との戦を前にし、彼らの神である北斗七星に祈る烏の言葉である−−

わたしがこの戦に勝つことがいいのか、山烏の勝つのがいいのか、それはわたしにはわかりません。みんなあなたのお考えの通りです。わたくしはわたくしにきまったように力一ぱいたたかいます。みんなあなたのお考えの通りです。

佐々木八郎「特攻隊員の手記」『ねじ曲げられた桜』p307 isbn:4000017969