読んでみてね。Baghdad Burning
http://www.geocities.jp/riverbendblog/index.html
リバーベンドさんのブログについては、id:noharra:20040409 id:noharra:20040504でも引用した。2003年8月から始まり、11/29分まで翻訳されている。7月には400頁以上もある本が東京で出版されている。isbn:4901006754 C0031 図書館にあったので借りてみた。
- アメリカ人は(日本人も)イラクをアフガニスタンと同じような途上国だと思っており、インターネット利用者やブロガーがいるとは思っていない。
- アメリカの侵攻前、イラクは(アラブでは)女性の社会進出が最も進んだ国であり、現にリバーベンドも男性と同じ給料で楽しく働いていた。
- アメリカの侵攻前、イラクではイスラム原理主義者は全く影響力を持っていなかった。
などなどはイラク人にとっていまさら確認するまでもない当たり前のことである。イラク人の生活に関わる情勢は、ブログが始まった去年8月から考えても悪化するばかりである。それを是正できない原因の一つは、「イラクは遅れた国であり、それを是正するためには悪を摘出し排除しなければならない」というアメリカが持つオリエンタリズムにある。リバーベンドが1年半努力してもその簡単なことが日本の大衆にはなかなか伝わらない。日本人は名誉白人だと思いたいのだろう。その地位がおびやかされているからこそ中国人差別が必要になる。
で、同じ問題がどう表れるかだが、強調したいことがもう一つある。
2003年8月28日の記事による。
バグダード東南端の新ディアール橋の再建費用の見積もりの要求があるイラク人技術者(リバーベンドのいとこ)にきた。「いとこは、部下を集め、その橋の破壊状況を調査し、被害はそれほど大規模ではないものの費用がかかると結論を出した。いとこたちは、必要なテストと分析を行い(土壌構造と水深、伸縮継ぎ目と桁といったことがら)、金額を算出して、概算見積として提出した___30万ドルだった。これには、企画設計費用、原材料(イラクでは実に安い)、人件費、下請け費用、旅費などが含まれていた。」彼の会社は優秀で、17年以上も橋建設に関わっており、第一次湾岸戦争で破壊された133の橋のうち20を再建した。
「1週間後、新ディアール橋の契約は、あるアメリカの会社にいった。よく聞いて!この当の会社は、橋再建費用を約5千万ドル(!!)と見積もったのである。」
イラクの復興を目的に掲げながら、イラク人に仕事を与えようとしない。Halliburton(勝手に変換されたがこれであっているのか)に類する企業に過大な利益を与えることには寛容である。このような経済運営もイラクの復興にマイナスの影響を与え続けているだろう。1年半も前のことを取り上げるのは、同質の問題が現在も継続しているだろうと思えるからだ。
(タイトルを、あるおとなり日記よりお借りしました。ありがとう。)