松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

ディスコミュニケーション

えーとid:noharra:20041024で、id:swan_slab:20041020の一部を引用し感想を書いた。すぐにスワンさんからコメント欄に応答があり、こちらも応答。しばらくしてまたスワンさんから応答があった。ですがそれを放置したままになっていて、すみませんでした。
 だいたい、「わたしの文章は断言的、批判的、攻撃的なきらいが多分にあるようです。(できれば)どうかご容赦ください。』であるわけですが、その割に手当たり次第に引用、あるいは批判などをし回って、尻も拭けない状態で皆さまにご迷惑をお掛けしているわけでございます。 ・・・
 論点に直接切り込もうとする意欲はあると言えば聞こえは良いが、他人の日記の引用をしつつ行うときは、その方とのコミュニケーションという側面にも考慮しつつ行わないと、いけない。 ・・・

 さて、日数が少し経っただけで何を書いていたのか忘れてしまったので、まず論点を復習しておきましょう。

  1. id:noharra:20041013に書いたように、南京大虐殺を語ることが、「大東亜戦争従軍の将兵、遺族さらには日本国及び国民の誇りに傷をつけ、辱めさせた」ことになるとする、「なかった派」が社会的影響力を行使した。
  2. 「私たちが、先祖との連続性を回復し、先祖をステロタイプな殺人鬼にしないためには、自虐史観排斥みたいな運動傾向にならざるをえないのかもしれず、」id:swan_slab:20041020より
  3. 「戦争はいけなかった」「戦争は悪だ」という叫びは、実は当事者の現実を封印するという方向にも働いたのだ。加害者は「当事者の現実の封印」に加担した。ある意味では右も左も封印に加担したのだ。そのことにより、特別に学ぶ努力をしない人の場合、非常に薄っぺらな当事者像しか手に入らないことになった。id:noharra:20041023#p1(野原)
  4. アジア諸国との関係で】日本人は加害者だ。(スワン)
  5. 歴史的判決というべき04年10月15日に、水俣病を語るブログや2chの言論が閑散としていた状況は、そうしたジレンマから私たちの意識が完全に自由であったことを意味するだろう。(スワン)id:swan_slab:20041020より
  6. イスラエルが悪い」と思うのは簡単でも、言うのは簡単ではない、ということのようだ。それと同じように「チッソが悪い」、と言うのは実は簡単ではないのではないか。*1「私たちもまた、加害性を抱えながら果実を手にしてきた。」黙っている人たちは発言すればジレンマに向きあわなければならないことを(どこかで瞬時に)察知したからこそ黙っているのではないか。(野原)id:noharra:20041023#p3
  7. 私のイメージでは、糾弾する→ゆえにコミュニケーションが切断される、ではなくて、ディスコミュニケーションゆえにステロタイプな殺人鬼像が量産される、というイメージです。(スワン)
  8. 糾弾することで切断されるというよりは、むしろガチンコでやりあえばコミュニケーションが生まれてくる可能性は少しはあると感じています。(スワン)

とざっと振り返ってみましたが、二人の発言はかなりすれ違っています。ですからこれはこれとして、再度新しい論点が出てくれば、・・・ということにしましょう。

*1:上記「言う」は「いう」になっていたが訂正。