松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

成田空港に〈住んでいる〉馮正虎氏


信念の「籠城」続ける馮正虎氏 上海公安が馮氏の家族へ懇願
 【大紀元日本11月13日】11月3日夜、中国への帰国のため、日本の全日空機に搭乗して成田空港から上海浦東空港に着いた上海市民・馮正虎(フォン・ジェン・フー)氏に対して、上海当局は中国入国を認めず、翌4日午前、同氏を日本へ強制送還した。

 馮氏は、自国民の合法的な入国を認めない中国側の不当措置に抗議の意を示すため、日本への入国手続きを取らず、7日経った11日の時点でも成田空港内の入国審査室に留まっている。
http://www.epochtimes.jp/jp/2009/11/html/d71189.html

 ある集まりで馮正虎さんのことが話題にあがった。今も彼は入国審査室に留まったままだとのこと。引き算するとすでに16日になることになる。

馮正虎(フォン・ジェン・フー)さんという名前は聞いたことがあった。私のグーグルリーダーで検索してみると、ブログ「おもいつくまま」さんで、去年1/26から2/19に6つの記事があった。次に、今年4月、次の記事。

中国当局拉致監禁されていた馮正虎が日本に出国2月に北京で中共当局に拉致監禁されていた人権活動家馮正虎が41日間の監禁後、4月初めに日本にひそかに出国させられていたことが明らかになった。
http://blog.goo.ne.jp/sinpenzakki/e/c8bd827e98ce115e7500f5b9db33c0cc

今年6月4日は天安門事件20周年で、それをきっかけに大衆運動をが起こることを中国当局は厳しく警戒していた。でそのためにめぼしい人権活動家はほとんど、当日までの数日間は自由を奪われるといったことがあったようだ。馮正虎に対しては、数か月間中国国内では活動を行わせないという抑圧を掛けてきたというわけである。
6月4日には東京でも、「六四天安門事件二十周年記念集会」が開かれた。彼の主張は次のように明快なものだ。

現在中国国内で日増しに高まる中国国民の人権運動は、法に定められた人権を実質的な人権に変え、08憲章*1の理念を実現し、自由・民主・法治・人権の尊重の新中国を建設することを主張しています。これは「六四」民主化運動の継承であり、中共党内の憲法と法律を守り、「人を以て本とし、民の為に執政する」政治路線を支持する改革派と、在野の多くの人権派弁護士、独立知識人および数千万人の人権請願民衆が共同で推し進める政治体制改革です。そしてこの人権運動は中国の進歩の希望です。
http://blog.goo.ne.jp/sinpenzakki/e/6e4daf7b7a3ae682fe88e7769b6747a9

1回目の入国拒否

上海の人権活動家馮正虎中華人民共和国国民であり上海市民である。彼は2009年6月7日に午後3:05(日本時間)に出発する中国国際航空公司CA930便に乗って、午後5:20(中国時間)上海浦東空港に到着しが、上海市公安局浦東空港出入国検査所の警官に不当かつ不法に入国を禁じられた。
http://www.google.co.jp/reader/view/#search/%E9%A6%AE%E6%AD%A3%E8%99%8E/7

これについて彼は次のように語っている。「私は2009年4月1日に目立たないように出国し、今回の帰国に際しても目立たないように、家族以外上海の誰にも知らせず、しかも、六四の敏感な日が過ぎてから帰国し、上海当局のメンツを立てました。」であるにもかかわらず入国拒否されたわけですね。http://blog.goo.ne.jp/sinpenzakki/e/cae2f8378a6c116a6a3ac1e923bbfddc


2回目の入国拒否

 6月17日朝には成田空港から中国国際航空機で再度、帰国しようとしたところ、航空会社が搭乗を拒否。出発ゲートで一夜を過ごしたものの搭乗はできず、そのまま日本に滞在している。

 馮さんの関係者によると、航空会社の職員は「上の命令で、飛行機に乗せることはできない」と説明したという。馮さんは「中国は少数の支配者と警察に支配されている。自分の国に帰れないことは信じられないことで、中国の恥だ」と訴えている。

 東京入国管理局成田空港支局は「出国審査も通っており、帰国は可能だった。しかし、航空会社の対応には関与できない」としている。
http://sankei.jp.msn.com/world/china/090619/chn0906190132000-n1.htm

3回目の入国拒否

 天安門事件20周年に合わせて来日し、2度にわたって中国への帰国を拒否されて日本に足止めされていた中国人の人権活動家、馮正虎(フウ・セイコ)さん(54)=上海在住=が24日、3度目の帰国を試みたが、中国の空港で再度、入国を拒否され、25日午前、日本に戻った。

 馮さんは24日午後7時5分成田空港発のノースウエスト航空機で上海浦東(ホトウ)国際空港に向かったが、到着後、警察官に入国を拒否された。馮さんは成田空港行きの航空券を渡され、25日午前、ノースウエスト航空機で日本に到着した。
http://sankei.jp.msn.com/world/china/090625/chn0906252235009-n1.htm

で、しばらくニュースが出てこなくて、11月に再度ニュースに。

空港制限区域に中国人活動家=帰国果たせず、日本入国も拒否−成田で夜明かし

 中国への帰国が果たせなかった活動家の馮正虎さん(55)=上海在住=が日本への入国を拒否し、成田空港の制限エリア内に4日から居続けていることが5日、分かった。馮さんは「中国当局に屈しないために、日本には絶対入国しないつもり」と話しており、同日午後には寝袋も持ち込まれたという。
 馮さんは3日に成田から上海に入国しようとしたが、中国入国管理局に拒否され、公安当局に拘束された。4日、強制的に成田へ連れてこられたが、上陸審査の際に「日本には入国しない」と主張。入国審査場前の制限エリアにとどまった。
 馮さんは1980年代に実業界などで活躍し、民間の中国企業発展研究所所長だった89年5月末、人民解放軍による民主化運動弾圧に反対する声明を発表し、辞任に追い込まれた。民主化・人権活動に取り組み、2001年には活動が不法と見なされて服役。03年の出所後も、日中両国で活動を続けているという。
 今年6月に帰国を試みて以来、中国当局に拒否されたのは8回目。これまでは千葉県内にいる家族の元に戻っていたが、今回は空港内で抗議する方法を選んだ。馮さんは「私は中国国民だ。帰れないのはおかしい」と訴え、「4日夜から寝てないが、中国の法律と人権を守るためにも、一生懸命頑張る」と話した。
 食事は、運送責任がある航空会社が馮さんから現金を預かり、差し入れている。
 東京入国管理局成田空港支局は「本人から上陸申請がなければ入国できないので、職員が終日付き添って入国するよう勧めている」としている。(2009/11/05-20:07)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200911/2009110501011

 馮さんは11月3日に成田から上海に入国しようとしたが、中国入国管理局に拒否された、8回目の拒否になる。
 このままでは、一生中国国内に入れないと思ったのであろう。彼は、「中国当局に屈しないために、日本には絶対入国しない」と決意した。
でその決意を翻す契機もなく、拒否から16日になるが空港の待合室のようなところに〈住み〉続けていることになる。


わたしたちが彼を支援し、中国が彼の入国を認めるよう声を挙げ、その声が大きくなれば解決の道は開けるかもしれない。それ以外にどのような解決が可能なのだろうか。
国籍もパスポートも持ったれっきとした公民が帰国すると言っているのにそれを拒否する国家というものは、およそ常識から外れている。だがしかし、国家が非常識な意思決定をしている場合それを覆すのは容易ではないのだ。
わたしは馮正虎さんのことを今までよく知らなかった。しかしネットで多少確認しただけでも、彼の行動におかしな点はなく中国当局がやっていることが非道であることは明らかである。日本のマスコミが大々的に取り上げれば日本の庶民は馮正虎さんの味方になるだろう。そうすれば事態は打開できるだろう!

成田で寝泊まり続ける中国人権活動家に食料支援

などのニュース
http://news.fresheye.com/clip/6035514/news/

youtube

馮正虎さん映像(中国語)
http://www.youtube.com/watch?v=XksW4IGsEXY
馮正虎さん映像(日本語ニュース 1分29秒)(冒頭に載せました)
http://www.youtube.com/watch?v=88GH8TDfQYw

本人のブログとtwitter

http://docs.google.com/View?id=dg5mtmj9_8g3hk27f5
これが本人のブログのようだ。
我叫冯正虎,是合法中国公民,八次被上海当局拒绝入境回国,而且这次不肯屈服上海警察用暴力手段绑架至日本。现在有国不能回,外国又不愿进
http://twitter.com/fzhenghu
本人のtwitter
2009-11-21 09:00 17日ぶりに服を着替えた(换衣服了)とのこと。「直接铺在硬冷的地面上,寒气会渗透到背部,长期这样睡或许不利于身体。」というのは、寝袋でコンクリートの床に横たわろうとしても、寒気がジンジン浸透してきてどうにもならないという意味だろう。大変だ。

自衛隊イラク派兵を総括できない民主党

11月19日17時55分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091119-00000581-san-pol

 平野博文官房長官は19日の参院内閣委員会で、平成15〜20年にイラク特別措置法に基づき同国に派遣した自衛隊の活動について「違憲だとは考えていない。われわれの理解では(活動場所は)非戦闘地域だったという認識だ」との認識を示した。民主党は野党時代、イラクを戦闘地域と位置づけ、自衛隊の撤収を求めてきたが、前言を撤回したことになる。

 平野氏は答弁で「自衛隊が活動した地域がイラク特措法の定める通り非戦闘地域だったかどうかは、野党のときには十分分かっていなかった」と釈明した。小沢一郎幹事長が「違憲」と断じていたインド洋での補給活動に関しても「憲法違反ではないと認識している」と述べた。連立政権に加わる社民党自衛隊の派遣自体を違憲と主張しており、食い違いを見せた。

 一方、岡田克也外相は19日の参院外交防衛委員会自衛隊イラク派遣について「当時の小泉純一郎首相は非戦闘地域の定義をきちんと答えなかった。今でもあのときの議論は明確な解決に至っていない」と述べ、閣内の足並みの乱れを露呈した。

 民主党はかつて、小泉首相の「自衛隊が活動する地域が非戦闘地域」との答弁に猛反発。鳩山由紀夫首相は党幹事長だった17年9月、衆院本会議の代表質問で「現在のイラクにはイラク特措法に言う非戦闘地域はない」と主張し、岡田氏も党代表だった同年1月の代表質問で「現在のイラク非戦闘地域はない」と明言していた。  
http://www.asyura2.com/09/senkyo74/msg/976.html

 「フセイン大量破壊兵器を持っていなかったから、イラク戦争は根底から誤った戦争だった」に対する議論が、ほとんど存在しなかったのが日本でした。でその代わりにあったのが「「自衛隊が活動する地域が非戦闘地域」との答弁に猛反発」。そもそも、小泉のこれは一体何だ?論理をあからさまに拒否することで、裏に存在している「権力」の不可侵を誇示するというパフォーマンスだったのでしょうか。*1ともあれ、それに反発することで民主党は一縷の希望であり続けたわけですが。
平野発言はすべての終わりを意味する。

会議録

 念のため、会議録の該当部分を改めて引用しておく。
岡田克也君  …そこで、自衛隊サマワにおける活動について、総理はサマワ非戦闘地域であると、こういうふうに言われました。非戦闘地域であるという、断言されたその根拠は何なんでしょうか。
内閣総理大臣小泉純一郎君)  根拠といえば、戦闘が行われていないということ、だからこそ非戦闘地域である。(発言する者あり)
岡田克也君  じゃ、総理、お尋ねしますが、お尋ねしますが、その議論の前提としてイラク特措法における非戦闘地域の定義を言ってください。
内閣総理大臣小泉純一郎君)  イラク特措法に関して言えと、法律上、いうことになればですね、自衛隊が活動している地域は非戦闘地域なんです。(発言する者あり)
岡田克也君  私が申し上げたのは、イラク特措法における非戦闘地域の定義を言ってくれと言ったんです。
内閣総理大臣小泉純一郎君)  それは定義は、それは文書を持ってくればすぐ言えますよ。党首討論ですから、考え方を言っているんです。私は、特措法というのは、自衛隊が活動する地域は非戦闘地域である、これがイラク特措法の趣旨なんです。(発言する者あり)
--- 平成16年11月10日衆・国家基本政策委員会合同審査会

  イラク特措法における非戦闘地域の定義を問われての答弁なので、自衛隊が活動する地域がそうだ、という趣旨に聞こえなくもないが、(「非戦闘地域」との語そのものは用いられていないが、)「我が国領域及び現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる次に掲げる地域(註:活動についてその同意がある外国の領域並びに公海及びその上空)」(第2条第3項)が正解だからそれを答弁すべきだったのだけれども、これが出てこなかったのですれ違い答弁をした、ということだろう。だからこそ、質問者である岡田代表もそりゃ答弁になってないよということで「定義を言ってくれと言ったんです。」と再度質問しているわけだ。にもかかわらず、次のように小泉総理を批判する材料として用いられるに至った。
http://www.seri.sakura.ne.jp/~branch/diary0704.shtml#0415

「小泉総理の答弁が「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域」であり、「自衛隊が活動する地域が非戦闘地域」ではなかったことを述べ、「は」が自明な内容を示す一方で「が」は新たな話題を示す、すなわちこの文例であれば前者は事実を、後者は定義を述べるものであるというこれらの助詞が持つ微妙な意味の相違を指摘」する、人。
わたくしたちの日本において論理は常に、奴隷の論理にスリ落ちる危険性を持っている。

*1:奴隷の国、日本