松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

イスラエル擁護四天王 とは誰か?

http://d.hatena.ne.jp/F1977/20090102/1230868540
以来、一部で四天王(してんのう)という言葉が流行っている。

イスラエル擁護四天王 とは誰か?
池内恵さんも その一人でしょう。


追記:
四天王と言って、一人しかあげないのもおかしいですね。
山内昌之、を最初に挙げるつもりだった。
http://d.hatena.ne.jp/Arisan/20090111/p1
で批判しておられる。この書評を読んだときはわたしも怒りが止まらなかった。でもそれなりにもっともらしいので、あと十年くらいたびたび引用されるかもしれない。


佐藤優 
http://watashinim.exblog.jp/9193135/
で、金光翔さんが批判している。


もう一人はネットの有名人で、ある女子大教授。レヴィナシアン。
いわゆるフランス現代思想が、ひねくれた文体と思想を持つのは、アウシュヴィッツの「不可能性」を自身の根幹に置いているからだ、と教えてくれた。それだけでなく、まあなかなかいいことも言う人かもしれない。レヴィナス自身のイスラエル加担は犯罪的としても、彼は別に悪くないのでは、という意見もあるかもしれない。わたしも今立論するだけの材料はないが、加担派と判断している。*1

*1:書けないものを不名誉リストにあげるのもなんなのでこれは候補とし名前はかかないことにした。

ふつうのイスラム社会とテロリストとの関係が証明できるか、ということ

イスラエルの暴虐を止められない、のはわたしたちの社会に、中東の暴力にかかわるすべての事象をどのような枠組で見るかについて大きな歪みがあるからだろう。
ふつうのイスラム社会とテロリストとの関係が証明できるか、というテーマが、少なくない論者によって、明示されなくとも(暗示的に)、提示されそれが認識枠組の歪みを形成する。
きはむさんという方の2005年のブログから断片的文章を引用する。

 ま、要点は何かと言えば、ふつうのイスラム社会とテロリストとの関係が証明できるか、ということ。酒井氏はイスラムとテロリストが無関係と言っているので、イスラム社会の「無視できない問題」を指摘しただけでは意味が無くて、それとテロリストとの(あるいはテロリストの主義主張との)確かな関係を示さなければ、酒井氏の主張に根拠のない排除が含まれているとまでは言い難いのではないか。(2005/08/02)
http://d.hatena.ne.jp/kihamu/20050802

これは件のアナウンサーに尋ねたほうがいいかもしれないが、婚前交渉した女性を焼き殺す習慣があったとして、それとテロがどう結びつくのか。何だか次元の違う話ではないか。(同上)

 911のようなテロ、および日本でだけ「テロ」という言葉を使っている自爆攻撃に、無関係な「婚前交渉した女性を焼き殺す」という事件が、結びつけられてしまう。
それによって、ふつうのイスラム社会とテロリズムになにがしかの関係があるかのような漠然とした認識が、社会に浸透する。


池内恵という中東研究者がいる。いま一番元気な。
数日前の毎日新聞に、「(アラブ、パレスチナ社会にシンパシーを抱く部分によって影響を受けている)ヨーロッパ」による介入の不公平性に危惧するみたいなことをちらっと書いていて、なんて奴だと怒りを感じたので、検索してみたら、きはむさんのブログにたどり着いた。

池内は『現代アラブの社会思想』が各所で名著名著と持ち上げられて、今や複数の論壇誌に頻繁に寄稿する売れっ子になっている。彼の主張のポイントは、イスラームの原則と西欧近代の原則は真っ向から対立するものであり、その点をきちんと認識しなければならない、ということである。
http://d.hatena.ne.jp/kihamu/20060430

池内は一部のオカルト思想を採り上げてイスラーム世界の思想状況が閉塞していると決め付けるオリエンタリストであり、「反米」的中東研究者を「高みに立っている」と攻撃している点で右翼的言説と近い、と言っておしまいという印象。

何と言うか、本当に「他者萌え」(by稲葉さん)が根元まで染み渡っているんだな。イスラームや中東を「理解」し、その地点から「帝国主義国」の支配やオリエンタリストの無理解・曲解を批判するという(池内が批判する)作法が、政治的イデオロギーや希望的観測に根深く規定されていたのではないかと(形式的にでも)反省的に問い直してみるマナーは持ち合わせていないのか。最初から「帝国主義国」を批判したいという目的に合わせてイスラームその他を「代弁」するのなら、それは逆向きのオリエンタリストと言っていいし、右派言説に近いと言っただけでは当然ながら批判になっていない(それは左翼仲間同士でカタルシスを提供し合っているだけだ)。
http://d.hatena.ne.jp/kihamu/20061023

 池内さんという方はそれなりの説得力を持つ文章を書ける人のようだ。
 であるとしても、今回のガザ侵攻を批判せず、あいまいに弁護しようとする言論を1行でも書いた以上はげしく指弾されるべきだ。
 *1
 *2

*1:で肝心の「1行」とはどんなものだったろうか。

*2:今回デリケートな問題について、きはむさんのずいぶん前の文章を強引に引用させてもらいました。きはむさんを批判する意図は全くないのでご容赦ください。